2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580154
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
青峰 正裕 中村学園大学, 栄養科学部栄養科学科, 教授 (60091261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 孝子 中村学園大学, 栄養科学部栄養科学科, 助手 (70271434)
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Keywords | 一酸化窒素 / 脳海馬 / 神経伝達物質 / ラット / マイクロダイアリシス / 血糖値 / 糖尿病 |
Research Abstract |
糖尿病では血糖値は高いが、脳内モノアミン(セロトニン、以下5-HT、ドーパミン、以下DA)レベルが低下しているとの報告が多い。一方、一酸化窒素(NO)は様々な病理・病態に関与していることが最近明らかになってきたが、糖尿病の病態にはどのように関わっているかは未だ明確ではない。そこで、本年度の研究ではこれらの関連性を見出すため、ラット脳海馬内の5-HT、DAやNOレベルをin vivoマイクロダイアリシス法を用いて測定した。また、インスリン投与やグルコース投与による血糖レベルの変化を起こし、或いはNO供与剤のsodium nitroprusside(SNP)投与によるNOレベル上昇を惹起して、これらのレベルがどのように変化するのかを観察した。実験動物としてはストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット(以下STZラット)とその対照としてWistar系の健常ラット(以下Cラット)を使用した。ペントバルビタール麻酔下で5-HT、DAは同一個体の左側海馬から、NOは右側海馬から同時に測定した。末梢血液NOレベルと海馬NOレベルはともに、STZラツトとCラットでほぼ同程度であったが、海馬5-HT、DAレベルはSTZラットではC群に比し有意に低下していた。SNP(0.01〜1mM)の灌流下でNOの増大が観察されたが、C群よりSTZ群でより顕著であった。しかし、その際、海馬5-HT、DAレベルはほとんど変化しなかった。STZラットではiNOS遺伝子発現の増加が報告されているが、この結果はSTZラットにおけるiNOSによるNO産生増加を示唆しているとともに、それに5-HT、DAレベルは関与していないことを示唆している。STZラットにインスリンを投与すると血糖値の下降に伴い、NOも減少し、5-HTレベルは上昇した。1週間のインスリン連続投与によっても同様な結果が得られた。さらに健常ラットに対するグルコースの腹腔内投与で、末梢血糖値の上昇と平行しての末梢血液NOレベルの上昇が観察された。以上の結果より、少なくとも短期的には糖尿病に伴う高血糖が脳内NOレベルと5-HT、DAレベルの調節に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kino M., Yamato T., Aomine M.: "Simultaneous measurement of nitric oxide, blood glucose, and monoamines in the hippocampus of diabetic rat : an in vivo microdialysis study"Neurochemistry International. 44. 65-73 (2004)
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[Publications] Yamato T., Misumi Y., Yamasaki S., Kino M., Aomine M.: "Diabetes mellitus decreases hippocampal release of neurotransmitters : an in vivo microdialysis study of awake, freely moving rats"Diabetes, Nutrition and Metabolism. 17(in press). (2004)
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[Publications] 大和孝子, 青峰正裕: "女子大学生における冷え症と食習慣との関連"総合健診. 30. 323-328 (2003)
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[Publications] 大和孝子, 青峰正裕: "女子学生の冷え症者における心電図と身体所見-冷え症の重症度との関連-"総合健診. 30. 575-580 (2003)