科学的知識の再構築を促すCSCLを取り入れた実践研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14580192
• Research Institution: Shiga University
• Principal Investigator: 鈴木 真理子 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (40273388)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中原 淳 文部科学省大学共同利用機関メディア教育開発センター, 研究開発部, 助手 (00342618) ; 鈴木 秀之 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (10202136)
• Keywords: 科学的知識 / 知識構築 / CSCL

Research Abstract

1 大学の授業におけるCSCL環境の利用について
CSCL環境を組み込んだ大学の授業をデザイン・実践・評価した結果、1)CSCL環境を取り入れることで学習内容について大学生は活発に討論できること、2)CSCL環境によって実現された社会的背景の異なる集団との相互作用によって大学生に豊な学習が広がること、がわかった(永田ほか,2002;2003;印刷中;中原,2002;鈴木ほか,2003)。
2 科学的知識の再構築をめざした実践研究について
2.1 研究1
基礎的知見を得るために、CSCL環境を使わない状況での大学生の科学的知識の再構築をめざした研究を展開した結果、1)認知的葛藤を生じやすい課題が必要であること、2)大学生が協調学習しやすい状況を授業者がつくる必要のあること、が明らかになった(Suzuki, in press)。
2.2 研究2
認知的葛藤を生じやすい課題について、CSCL環境における大学生の協調学習に関する研究を展開した結果、1)大学生同士の相互作用を介して、個々人の知識が変化し、協調的に知識が構築されたこと、2)それにより、大学生の科学的知識の理解が深まったこと、が示された(鈴木ほか,印刷中)。
2.3 研究2
科学的知識の理解を助ける教具制作活動における大学生と大学院生の協調学習に関する研究を展開した結果、1)大学生と大学院生の相互作用を介して、制作された教具がより洗練されていったこと、2)大学院生の発言を高く評価する大学生が多かったこと、3)大学院生の側にも学習が起こったこと、が明らかになった(鈴木ほか,2002)

Research Products

• [Publications] 永田智子, 鈴木真理子, 浦嶋憲明, 中原淳, 森広浩一郎: "CSCL利用により教科専門大学教員が参加する大学院教科教育の授業と評価"日本教育工学会学誌. 26・Suppl.. 231-236 (2002)
• [Publications] 永田智子, 鈴木真理子, 浦嶋憲明, 中原淳, 森広浩一郎: "CSCL環境での異学年交流によるポートフォリオ作成活動を取り入れた教員養成課程の授業実践と評価"日本教育工学会論文誌. 26・3(印刷中).
• [Publications] 中原淳 浦嶋憲明, 西森年寿, 鈴木真理子, 今井靖, 山際耕英, 永田智子: "相互評価機能を実装した電子掲示板の開発と評価"日本教育工学会学誌. 26・Suppl.. 33-38 (2002)
• [Publications] H.Suzuki, H.Kumagai: "Autocatalytic processing of γ-glutamyltranspeptidase"J. Biol. Chem.. 277・45. 43536-43543 (2002)
• [Publications] 鈴木真理子, 永田智子, 中原淳, 浦嶋憲明, 今井靖, 上杉奈生, 若林美里, 森広浩一郎: "CSCL環境での共同体参加による教員養成系大学生の協調的な教具制作活動の分析"日本教育工学会誌. 26・Suppl.. 243-248 (2002)
• [Publications] 鈴木真理子, 永田智子, 中原淳, 浦嶋憲明, 今井靖, 若林美里, 森広浩一郎: "電子掲示板を利用した協調的な知識構築過程の図式化による質的分析-高等教育の授業における天文領域学習の事例-"日本教育工学会論文誌. 26・3(印刷中).
• [Publications] M.Suzuki: "Conversations about the moon with prospective teachers in Japan"Science Education. (in press).