Research Abstract |
論理的に物事を考え問題解決をしていく能力は,国際化や技術革新の中にあって,工学技術者として必須のものである.一方,最近の学生は,物事を論理的に深く考えるということを苦手とする傾向にある.本研究は,学生の論理的思考力の現状分析を進め,数学,物理,化学などの数理科目の中で,どのような教育方法がこの能力を高めることができるかを明らかにして行こうとするものである.今年度行った研究は,主に次の2つにしぼられる. 1.ワークショップの開催:学外の教育機関との情報交換のため,このテーマに関するワークショップを平成15年1月25日,26日に開催した.ワークショップは2部に分けて行われ,第1部では,西村和雄氏(京都大学経済研究所),岡部恒治氏(埼玉大学経済学部),浪川幸彦氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)を交え,教育現場での学力低下問題を,論理的思考力という切り口で眺めた場合,どのような問題点が浮かび上がってくるかについて討議した.また,第2部では,佐伯昭彦氏(金沢工業高等専門学校),阿蘇和寿氏(石川工業高等専門学校),公庄傭三氏(大阪清風高等学校),大谷実氏(金沢大学教育学部),鹿野健氏(山形大学教育学部)を交え,高校,高専,大学などでの考える教育の実践例の発表を通して,高校,高専,大学が,このテーマに関して連携できるかどうかについて討議した.さらに,討議内容をワークショップ報告集としてまとめた. 2.数理問題の思考力に関する調査:論理的思考力をみるための問題を8題準備し,本学の2年生より希望者を52人集めて調査を行った.各問題に関して,論理的表現力,計算力,知識,推理力,直観力の観点から5段階評価を行った.分析結果をワークショップ報告集に掲載した.
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