2003 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥/多動性障害児における読字・書字行動の獲得が自己嫌悪感の変化に及ぼす影響
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14580260
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
鶴巻 正子 福島大学, 教育学部, 助教授 (40272091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 洋二郎 福島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20106214)
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Keywords | 注意欠陥 / 多動性障害 / 読字・書字障害 / 自己嫌悪感 |
Research Abstract |
AD/HDのある児童の自己評価が低いことは一般に知られているところである。しかし、自己評価が必ずしも低くはなく、むしろ過剰な自信をもつなど歪曲した自己イメージをもつ子どもも多い。すなわち、実際にはAD/HDのある子どもの自己評価や自己像の発達については十分に理解されていない。そこで本年度は自己イメージに関する調査表を作成し、AD/HDおよびHFPDDのある子どもを対象(臨床群)に自己イメージの調査を行った。また、一般の学童を対象(一般群)に同じ調査表を用いて標準化のための調査を行った。 臨床群はF大学教育学部附属臨床心理・教育相談室に来談している児童3名と近隣の精神・神経科の医療機関を受診している児童10名(男子8名、女子2名)であった。一般群はF県内の公立小学校3年生-6年生1051名(男子506名、女子545名)であった。 その結果、一般群の児童は学年が進むにつれて万能感が下がっていくが、臨床群では必ずしもこの傾向は認められなかった。また、AD/HDの子どもは自己が孤立しているというイメージを一般の子どもよりも強く持っており、また自己肯定感や成功体験から生まれる自己信頼感が低かった。以上のように臨床群においては自己評価が低いことがわかったが、過度に自己評価が高い子どもがいる可能性を今回の調査では十分に把握することができなかった。今後こういった子ども達の特徴をどのように把握すべきかを検討していく予定である。 また本年度は、依頼できた被験者の関係からLD児を対象に漢字の書字行動の獲得に関する実験的研究を行った。実験結果については現在分析中のため、今後、学会報告や論文等で報告していく予定である。
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