2003 Fiscal Year Annual Research Report
幼児教育におけるインフォーマル算数習得の支援プログラムと指導法の開発
Project/Area Number |
14580274
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
丸山 良平 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70229631)
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Keywords | 数概念 / インフォーマル算数 / 算数教育 / 認知発達 / 幼児教育 / 数の保存概念 / 性格プロファイル / 発達プロファイル |
Research Abstract |
本研究の目的は幼児教育において数量知識を指導するプログラムと指導法を開発するために縦断的に幼児のインフォーマル算数の実態とそれを習得する条件を明らかにすることである。1999年4月に幼稚園に入園して2002年4月に修了した幼児85人を対象にした。3年間にわたり独自に作成した数量能力調査(毎年度2回,計6回),標準化された性格診断検査(毎年度1回,計3回),標準化された総合発達診断検査(毎年度1回,計3回),対象児の家庭状況調査(2001年度1回)を実施して収集した資料を分析して考察し,それらを学術論文4本に報告した。 数量能力調査は1数,2数,3数関係の課題で構成された。それらの課題の得点もしくは正答率の加齢に伴う推移を分析した結果,幼児期の終わり頃には1数,2数関係の操作は保存を除き,10以下の数範囲ならばほぼ完全達成し,3数関係の操作は幼児期を通して獲得していくが,最も容易な合成でも7割程度の達成であった。 性格診断検査および発達診断検査の結果を分析して対象児の性格,心身の総合的な発達の実態を,さらに家庭状況調査では対象児の兄姉の有無,5歳期における習い事の実態を明らかにした。これらの実態と数量能力調査の結果をクロスさせて分析した。その結果,数量能力獲得と関連する性格プロファイル,発達プロファイルは年齢期により変化し,初期では情緒の安定や園への適応が関連し,次第に自立性に移り後期では理性で感情をコントロールする自制性が関連した。5歳期では特に言語発達とやや強く関連することが示された。兄姉の有無と数量能力の獲得は3歳期ではまったく関連せず4,5歳期では弱い関連があった。 こうした事実を踏まえ,幼稚園など集団教育における数量指導の方法と指導プログラム作成の留意点を考察した。
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[Publications] 丸山良平: "幼稚園に就園する3年間で幼児が習得する数唱と数詞系列の実態"上越教育大学研究紀要. 22・1. 119-132 (2002)
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[Publications] 丸山良平: "幼児が集合を二等分する分配方略と同数判断の方略の実態"上越教育大学研究紀要. 22・2. 419-431 (2003)
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[Publications] 丸山良平: "幼稚園に就園する3年間で幼児が構成する数の保存概念の実態"上越教育大学研究紀要. 23・1. 11-22 (2003)
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[Publications] 丸山良平: "幼稚園に就園する3年間で幼児が獲得する数唱技能の実態"上越教育大学研究紀要. 23・2. 379-392 (2004)