2003 Fiscal Year Annual Research Report
器械運動の学習指導を支援する「下位教材データベース」の開発と利用方法の検討
Project/Area Number |
14580279
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡辺 敏明 信州大学, 教育学部, 講師 (90220904)
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Keywords | 体育科教育 / 器械運動 / 下位教材(練習課題) / データベース(DB) / 運動学 / 学習指導の支援 |
Research Abstract |
1.器械運動の学習指導が困難な技の情報を収集することで,以下の知見を得た。 (1)学校体育の学習指導現場では適切な下位教材(運動あそび)をつくり出せないことで授業が行き詰まっており,その問題は学校体育全般に及んでいる。 (2)下位教材はスポーツ運動を学習する際に「アナロゴン」として利用される可能性の高い「感覚」を提供する運動であり,運動学の知識(教材づくりの視点)を活用することによってつくり出せる。 2.器械運動の学習指導に関連する情報を文献から収集し,「教材づくり」に生じている問題とあわせて検討することで,以下の知見を得た。 (1)技の運動課題と技術は明らかにされているものの,多くの研究や指導書で紹介されている教材はいわゆる「大きな体系」であり,そこから広がる下位教材づくりの工夫を暗に期待している。 (2)運動学的知識を活用できない教師にとっては,大きな体系から派生させる教材のバリエーションづくりそのものが学習指導実践上の問題であり,教材づくりの行き詰まりにつながる。 このような問題認識を背景にした事例研究報告をおこなった(「とび箱運動における『開脚とび』の教材づくりについて:第23回スポーツ教育学会)。 3.本研究課題に関連する運動学の知識を活用した実践研究と事例研究報告をおこなった。 (1)実践研究(なわとび運動の初心者指導における教材づくりの工夫について)。 (2)事例研究報告(「体ほぐしの運動における教材づくりの工夫について」:第7回体育授業研究会,「仲間と動いて心をつなぐ『体ほぐし』の実践」:第3回日本体操学会シンポジウム)。 これらの報告は,スポーツ初心者への学習指導問題を浮き彫りにするとともに問題解決実践について解説したものであり,学校体育における「偏った認識」を変革するための運動学的アプローチとして,器械運動の学習指導にとっても必要不可欠な知見の提供である。
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