2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション方略の使用が言語習得に及ぼす影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
14580291
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高塚 成信 岡山大学, 教育学部, 教授 (70132652)
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Keywords | コミュニケーション方略 / 第2言語習得 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度実施した調査研究における問題点を改善し、新たな実験計画で再調査した。 昨年度実施した調査の対象は日本人英語学習者(大学生)で、目標言語項目に関連した筆記での言語生成(英作文)課題を与えるグループ(実験群)と与えないグループ(統制群)を設けることによって、「言語的問題への気づき」という変数を統制するとともに(=実験群気づきあり、統制群気づきなし)、その後、目標となる言語形式を口頭で与え、ディクテーションできたことをもって当該「言語形式への気づき」の指標とすることにした。そのようね実験計画によって、「言語的問題への気づき」と『自分で生成した言語形式と後続の言語入力中の言語形式との違いの度合い」が、後続の言語入力における「言語形式への気づき」さらには「言語形式の習得」とどのように関係しているのかを明らかにすることができると考えた。 しかしながら、「言語形式への気づき」の指標として用いたディクテーション課題は、調査参加者には難しすぎたようで、2群ともスコアが低く、「言語的問題への気づき」と『言語形式への気づき」という2変数間に有意味な関係があることを引き出すには至らなかった。また、実験群におけるコミュニケーション方略を用いて「自分で生成した言語形式と後続の言語入力中の言語形式との違いの度合い」と『言語形式への気づき」という2変数間にも有意味な関係が見いだせなかった。これは変数間に関係がないからではなく、ディクテーション課題が難しすぎたためであると考えられた。 そこで今年度は、昨年度の実験計画を基本的に引き継ぎながらも、調査参加者にとってディクテーション課題において難しすぎない言語形式を目標言語形式として設定して再調査した。 その結果、言語生成における「言語的問題への気づき」とコミュニケーション方略を用いた問題解決行動は、後続の言語入力に含まれる『言語形式への気づき」を促進させること、とりわけ、コミュニケーション方略を用いて「自分で生成した言語形式と後続の言語入力中の言語形式との違いの度合い」が小さいほど、後続の言語入力に含まれる「言語形式への気づき」を促進させることが明らかになった。 このことから、言語生成におけるコミュニケーション方略の使用が、「言語形式への気づき」を促進させ、さらには、「言語形式の習得」を促進させる可能性があることが分かった。
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Research Products
(1 results)