2003 Fiscal Year Annual Research Report
多読法が日本人大学生の英文読解力向上に与える効果に関する研究
Project/Area Number |
14580312
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
赤松 信彦 同志社大学, 文学部, 助教授 (30281736)
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Keywords | 英語教育 / 英語読解 / 学習動機 / Extensive Reading |
Research Abstract |
本研究プロジェクトの目的は、(1)日本の大学英語読解教育に適した多読法の開発と、(2)日本人大学生の英文読解力向上に対する多読法の効果を調査・考察することである。研究プロジェクト2年目にあたる平成15年度は、(a)英語学習に関する一般的意識、(b)英語リーディングに対する実態、(c)英語読解力、および(d)教室外での読書量を研究の焦点に置き、多読法の必要性について分析した。本年度は、教室外で英書を読むことに対して、教師は積極的に指示を与え、学生が独自に選んで読んだ英書に対してレポートを提出させ、また、教室内でも、テキスト以外の英書を読む機会(10分間リーディング)を設けた。 大学1年生289名を対象に、(I)英語学習に対する態度・動機、(II)教室内外での読書(リーディング)に対する意識に関して、94項目の質問項目からなるアンケート調査を行った。有効な222名のデータを因子分析を用いて分析し、因子数は、固有値1以上の基準を設けた。最尤法を用い直接斜交回転を行った結果、(I)英語学習に対する態度・動機に関しては、15因子、(II)教室内外での読書(リーディング)に対する意識に関しては、9因子が抽出された。これら24因子と英語読解力および教室外での読書量の相関を調べた結果、(1)「映画・音楽・原書(文学作品)を通した英語圏文化の学習【(I)領域・第1因子】」や、「英語学習への興味・計画的な英語学習【(I)領域・第2因子】」をしている学生ほど教室外での英書読書量が多く、「自分で選んだ英語の本を読むのは楽しい【(I)領域・第4因子】」と感じている学生ほど、読書量が多く英語読解力が高いことが明らかになった。対照的に、「英語読解力を伸ばす方法がわからない【(I)領域・第11因子】」学生は読解力が低く、教室外での英書読書量も少なかった。また、「リーディングの授業に対して高い評価【(II)領域・第1因子】」をし、「テキスト以外の副読本は英語力を伸ばすと感じ、10分間リーディングに対して高い評価【(II)領域・第5因子】」をした学生や、「単語を覚えようと努力【(II)領域・第3因子】」し、「副読本の読書量を評価に含めたり、読書内容をレポートに書かせることは読む動機を高める【(II)領域・第6因子】」と感じた学生ほど、教室外での英書読書量が多かった。しかし、これらの要因と英語読解力との間に統計的に有意な相関は見られなかった。
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