2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本語習得の認知過程と教育的介入:「〜ている」の中間言語文法知識の形成
Project/Area Number |
14580339
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小柳 かおる 上智大学, 比較文化学部, 助教授 (90306978)
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Keywords | 情報処理 / focus on Form / 暗示的学習 / 潜在記憶 / 言語適性 / 作動記憶 |
Research Abstract |
本研究は第二言語習得(SLA)を促進するとされるタイプの指導(Focus on Form)の効果を日本語教育で検証するものである。予備研究結果の分析、反省から、本実験に向けて解決すべき問題が洗い出された。クラスの一貫として行なう準実験デザインでは、介在する変数を制御できないことから、実験手順を厳密に制御した純実験デザインが必要だと認識させられた。また、ここ数年の間に、当該分野の先行研究のメタ分析が行なわれ、実験方法の改善、今後の課題の提案が相次いでなされた。従って、それに沿う形で実験を組み直す必要に迫られ、実験内容を修正、拡大することにした。本年はSLAのみならず、認知心理学にも広げて、新たな文献リサーチが必要になり、本研究の理論の枠組み作りと、実験における独立変数や従属変数の構成概念の操作上の定義や実験計画の再考に努めた。以下の要素を新たに考慮した。 1)暗示的学習:メタ言語的な文法説明に関して、SLAにおける有効性は実証されていないし、むしろSLAを阻害するのではないかとされる。暗示的学習はメタ言語的知識を助長する明示的学習よりSLAを促進すると推定されるが、そのプロセスの詳細は未解明だとされる。よって、暗示的モードの学習を促進する指導手順の考案と、その効果を測るテストの作成を試みた。 2)学習者のアウェアネス:アウェアネスを測る言語学習の潜在記憶の測定方法の研究。 3)タスクの複雑さ:認知的なタスクの複雑さの増加と共に学習者の注意が言語形式に向くとされ、このようなタスクの可能性を模索した。 4)学習者の言語適性:指導のタイプとマッチする言語適性の要素を調べ、学習者の認知能力の構成概念作りとそれを測るテストを調査した。特に作動記憶や情報処理の速度が重要になる。
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