2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580355
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
南 美穂子 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 助教授 (70277268)
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Keywords | 多変量逆正規分布 / 多変量逆関係 / ブラウン運動 / 多変量ラグランジュ分布 / 無限分解可能性 |
Research Abstract |
逆正規分布は正規分布と逆関係を持つことからその名が付けられたもので、ブラウン運動が初めて一定の高さの壁に到着した時間の分布としても特徴付けられる。 逆正規分布の多変量への拡張は、すでに多くの研究者が試みているが、逆関係に着目した拡張はまだなされていない。本研究は多変量分布間の逆関係とはどう定義されるべきかを考察した上で、多変量正規分布と逆関係を持つという特徴から多変量逆正規分布を導出し、理論的考察、および実際のデータへの応用に関して研究を行うことを目的としている。 多変量分布間の逆関係の定義は、多変量ラグランジュ分布族に関する研究からヒントを得て、単変量からの自然な拡張として得られ、多変量正規分布とこの意味で逆関係を持つ分布としての多変量逆正規型分布を導出することができた。この分布は、多変量ブラウン運動が初めてある超平面に達したときの位置の分布としても特徴付けすることができ、線形変換に関して閉じていて、無限分解可能であるといった性質もある。多変量分布間の逆関係の定義、多変量逆正規分布の導出とその性質に関する議論は統計数理研究所リサーチメモ840としてまとめ、学術雑誌へ投稿した。 離散型分布族である多変量ラグランジュ分布族においても減少数の分布と基本ラグランジュ分布との間に多変量逆関係が成り立つ。この関係に着目すると、多変量ラグランジュ分布族の分布にいくつかの条件を課しながら極限を取った場合、提案した多変量逆正規分布に収束することを示すことができる。現在は、この結果をまとめて学術雑誌へ投稿する準備中である。
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