2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580370
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
茅 暁陽 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (20283195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今宮 淳美 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40006276)
郷 健太郎 山梨大学, 総合情報処理センター, 助教授 (50282009)
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Keywords | 情報可視化 / 履歴の可視化 / メタファー / 紙の劣化モデリング / エージング |
Research Abstract |
初めて手に取った本であっても、その本の汚れや折れ目は今までそれを読んでいた人がどの部分に特に興味を持っていたかを教えてくれる。ドアノブの磨かれた部分は、このノブを使った人がどこを触ったかを示してくれる。摩損とは一般的に、繰り返し使用されたことにより発生したオブジェクトの品質と外観の変化のことである。私たちは普段意識していないだろうが、摩損は、重要な情報として私たちの日常生活に役立っている。本研究では、計算機環境にこのような摩損概念を導入することを提案し、コンピュータグラフィックス(CG)による摩損のモデリングとレンダリング技術、そして摩損表現を利用した情報可視化技術の開発を行った。 本研究では、摩損によるデスクトップ環境の可視化法を開発した。デスクトップのアイコンに摩損効果を付加し、ファイルやフォルダの履歴を可視化する。最終更新後の経過時間を紙の黄ばみ、アクセス数を手垢、最終アクセスからの経過時間を紙のくすみにマッピングすることにより、ユーザがそれらの履歴情報を直感的に読み取れることを可能にした。また、ユーザが情報をより自然に読み取ることを可能とするために、写実的な摩損表現が有用である。そこで、本研究ではまずCGによる紙の劣化のモデリングとレンダリング方法の開発を行った。実験で得られた観測データに基づき、光の照射による紙の退色と吸脱湿による紙の変形のモデルを確立し、表示方法を実装した。これにより、異なるパルプで構成される紙が環境に合わせて徐々に劣化していく過程をCGで自動的に再現することが可能となった。これらの技術は情報可視化のみならず、CG映像製作への応用も期待される。
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