Research Abstract |
本年度は下記の2つについて研究を行った。 A)曲線(面),面構造に関する研究 本研究ではデザインのフィジービリティスタディへの利用のため,立体感,スケール感を再現できるVRシステムを用いてより精度の高いデザイン評価を行い、インスツルメントパネル(以下,インパネ)を構成する形態要素と印象との関係の明確化を目的とした。ここで,自動車インテリアは大きく分けて,インパネ,シート,ドアトリムの3つの部分から成り立っている。本研究では,乗車姿勢におけるドライバーの印象を左右すると考えられるインパネをケーススタディとした。 本研究は,まずインパネを「プロポーション」,「面構造」,「曲線(面)」の造型段階に分け,それぞれに関してインパネ形状に影響を与えると考えられる形態要素項目を,既存車39車種のインパネ基本断面形状のデータを収集・分析することで抽出した。次に,各分析結果より抽出された,インパネ形状に影響を与える形態要素を用いて,実験計画法によるVRモデルの作成を行った。作成したVRモデルを,10語の評価用語を用いて被験者36名に対し評価実験し,その評価結果をもとに主効果を求め,分散分析,t検定を行うことで,各形態要素とドライバーに与える印象との関係を明らかにした。さらに,その結果から,形態要素の組み合わせによって,意図した印象を与えるインパネをデザインすることができるのではないかと考え,分析結果を基にCGによりインパネを作成することで,その可能性についても考察した。 B)システムの推論部に関する研究 推論部を開発する際,「原因(形態属性)と結果(イメージ)との関係」を知識として得ようという試みがよくなされる. 本研究では自動車のフロントマスクデザインをケーススタディとし,ラフ集合を用いて形態要素とイメージとの関係を知識として得て,デザインコンセプト立案への応用を試みることを目的とした.まず,森(1997)による手法によりラフ集合システムの開発を行い、矛盾解抽出などのアルゴリズムを加えた.そのシステムによって得られる縮約と数量化理論第II類との推論結果比較を行い,ラフ集合による推論結果の特徴を考察した.次に,縮約の併合アルゴリズムによって得られる知識の自動車フロントマスクデザインへの応用を試み,その有効性を検証した.さらに,多人数における縮約併合アルゴリズムの開発を行い,実際のデザインコンセプトに求められる多人数のクラスターにおける特徴の知識獲得への応用を考えた.
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