Research Abstract |
TAMネットワークは視覚モデルであり,そのモデル構築の基本的意義を確立するため,Aperture実験を行い人間の運動知覚機能における生理学的構造を解析した.実験プログラムは林が開発し,次の6種類の実験を行った. ・被験者とディスプレイとの距離を一定に保ち,円の小窓(Aperture)の呈示角度と刺激線分の挿入角度を変化させ,呈示時間に対する知覚グルーピングの認識率を測定する. ・被験者とディスプレイとの距離,円の小窓の呈示角度,刺激線分の挿入角度を一定に保ち,円の半径と円間距離を変化させ,呈示時間に対する知覚グルーピングの認識率を測定する. ・被験者とディスプレイとの距離,円の小窓の呈示角度,刺激線分の挿入角度を一定に保ち,円の半径と円間距離との比率を一定にして,呈示時間に対する知覚グルーピングの認識率を測定する. ・被験者とディスプレイとの距離,円の小窓の呈示角度,刺激線分の挿入角度,円の半径と円間距離を昇順,降順で変化させ,呈示時間に対する知覚グルーピングの認識率を測定する. ・被験者とディスプレイとの距離,円の小窓の呈示角度,刺激線分の挿入角度,円の半径と円間距離を被験者に告知の上で変化させ,呈示時間に対する知覚グルーピングの認識率を測定する. ・被験者とディスプレイとの距離,円の小窓の呈示角度,刺激線分の挿入角度を一定に保ち,円の半径と円間距離を変化させ,注意信号を挿入の上,呈示時間に対する知覚グルーピングの認識率を測定する. これらの結果,林とWilliamsonで,岡田(ATR)・仁科(理研)が論じているように認識率は呈示時間に対して強い正の依存性を示すが,呈示時間が長い場合,すなわち,呈示速度が遅い場合に,負の依存性を示す現象が存在することを示した.この現象は視覚プロセス内において呈示時間の長短により処理機能を変化させている可能性を示す.上記課題を解明するため,林と馬野,Williamsonで今後の検討点を議論した.
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