2003 Fiscal Year Annual Research Report
ドナー性およびアクセプター性共役高分子ブレンド膜太陽電池の色素増感による高効率化
Project/Area Number |
14580536
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 光信 金沢大学, 工学部, 助教授 (00135047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 義章 金沢大学, 工学部, 教授 (20019772)
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Keywords | 有機太陽電池 / 共役高分子 / 光誘起電子移動 / メロシアニン / ポリチオフェン / 光起電力効果 |
Research Abstract |
より実用に近い形の有機薄膜太陽電池を開発する目的で、平成14年度に報告したAl/ブレンド膜/Auサンドイッチ型セルの窓材である半透明Alの代わりに、透明で平滑な酸化チタンTiO_2を用いたTiO_2/ブレンド膜/Auサンドイッチ型構造のセルについて、そのブレンド効果(共役高分子ポリチオフェンのメロシアニンによる色素増感)を検討した。 可溶性ポリチオフェン(P3HT)にメロシアニン色素(MC)をブレンドすることによって、それぞれの単独膜に比べて格段に良好なエネルギー変換効率が観測された。このブレンド膜セル(TiO_2/P3HT+MC/Auサンドイッチ型セル)でのエネルギー変換効率の最高値は、太陽擬似光AM1.5-100mW/cm^2照射下で0.32%であり、このタイプの太陽電池としては非常に大きな値であった。光起電力発生界面がTiO_2/ブレンド膜界面であり、約60nmの空乏層内で光電荷分離が行われていることを突き止めた。さらに、この色素増感効果は、ブレンド膜内のこの空乏層で、メロシアニン色素からポリチオフェンへの光誘起ホール移動が容易に起こるためである。すなわち、光照射によって形成した電子励起状態のメロシアニン色素がアクセプター、基底状態のポリチオフェンがドナーとして作用し、光誘起電子移動によってそれぞれの分子内に形成された電子および正孔が空乏層の電場によって効率よく電荷分離したものである。 このように、平成15年度は、有機物の分解を促進する恐れのある紫外光をカットする「透明で平滑な酸化チタン」を窓材として用いたブレンド膜型有機薄膜太陽電池の実用化への可能性を示し、また、その光起電力発現機構について解明した。平成16年度は、太陽光スペクトルにできるだけマッチした吸収スペクトルを持つ色素を用いたブレンド膜型有機薄膜太陽電池を探索し、エネルギー変換効率の向上と、さらに詳細な光起電力発現機構について検討する予定である。
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Research Products
(1 results)