2002 Fiscal Year Annual Research Report
高放射線場におけるテクネチウムコロイドの生成機構の研究
Project/Area Number |
14580539
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 勉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20154651)
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Keywords | テクネチウム / 放射線効果 / コロイド / ナノ粒子 / 二酸化テクネチウム / 過テクネチウム酸イオン / 水溶性Tc(IV)化学種 |
Research Abstract |
過テクネチウム酸イオンを含む水溶液をターゲットとし、電子直線加速器から得られる制動放射線を照射することにより、二酸化テクネチウム水和物のコロイドの生成を認めた。照射の際のターゲット水溶液の温度を制御するため、圧縮空気を氷冷してターゲットに吹きつけることのできる簡易照射システムを作製した。生成したコロイド粒子は、その粒径が30から80ナノメートルほどであったが、透過型電子顕微鏡による詳細な観察により、1つのコロイド粒子が粒径2ナノメートルほどの微小粒子の集合体であることがわかった。また、電子線回折の結果、粒子はアモルファス構造をもつことも判明した。ターゲットへの吸収線量が増加するにつれてコロイド生成量は増加するが、その増加の仕方は水溶液中に溶存する気体の影響を大きく受け、酸素や亜酸化窒素ガスが飽和している溶液では、コロイドは容易には生成しなかった。また、逆にアルゴンで飽和した溶液では、2〜3kGyの吸収線量において約90%のテクネチウムがコロイドに変換された。さらに、水溶液に少量の硫酸を添加して酸性とすると、照射によってもコロイドの生成は見られなくなり、水溶性の新たなTc(IV)化学種の生成が今回初めて見いだされた。つい最近、過テクネチウム酸イオンの電解還元により水溶性のTc(IV)化学種が生成することが報告され、今後、化学的性質を詳細に比較し、これを同定したい。
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