2002 Fiscal Year Annual Research Report
静的崩壊熱除去系での利用を目指した二相熱サイフォンの高度化
Project/Area Number |
14580540
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
神永 文人 茨城大学, 工学部, 教授 (80114015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 邦仁 茨城大学, 工学部, 助手 (00291287)
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Keywords | 二相熱サイフォン / 沸騰熱伝達 / 最大熱流束 / 崩壊熱除去 / パッシブ |
Research Abstract |
本研究は、原子炉の崩壊熱除去系へ適用するための二相熱サイフォンの高度化として、最大熱輸送量の増加と非凝縮性ガスの影響を出来るだけ小さくすることを目指し、2本の単管熱サイフォンを並べループ状とした熱サイフォンの伝熱性能を実験的に調べ、新しいパッシブな除熱機器を開発することを目的としている。この形状の熱サイフォンの場合、管内では沸騰気泡による大局的な自立的振動流れが生じることが予想され、この流れによって、通常の単管型熱サイフォンに比べ最大熱輸送量がどの程度向上するか、加熱部の温度分布がどの程度均一化されるか、非凝縮性ガスの凝縮熱伝達に与える影響がどの程度緩和されるかについて明らかにする。本年度は、そのループ状二相熱サイフォンを自作し、蒸発部熱伝達特性として、壁温の均温特性と最大熱輸送量について、物性値の大きく異なる3種類の作動流体(水、エタノール、フロンR-113を使用して実験的に調べ、以下の知見を得た。壁面温度の均一化については、作動流体としてR113を使用した場合、温度分布は単管熱サイフォンと同様に蒸発部下端の温度が高くなり、温度均一化は十分でなかった。一方、エタノールを使用した場合は、低熱流束域では単管熱サイフォンと同様に均温化が十分ではなかったが、高熱流束域では沸騰に伴う圧力変動が大きくなり、封入率によらず壁温は均一化された。実際に使用を予定している水の場合は、さらに大きな圧力変動が得られるためほぼ一様な蒸発部壁面温度が得られた。従来の単管型とループ型を比較すると蒸発部平均熱伝達率は同様な傾向を示した。一方、最大熱流束に関しては、振動流れがあまり大きくないR-113とエタノールの場合でも、単管熱サイフォンの2倍程度となること、水の場合は装置の耐圧限界から熱流束の限界まで実験が不能であったが、単管型に比べループ型は少なくとも2倍以上の限界値が得られることを確認した。
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