2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境動態標識としての鉛同位体比の高感度・迅速測定法の開発
Project/Area Number |
14580555
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今泉 幸子 日本女子大学, 理学部, 助手 (10247091)
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Keywords | 鉛同位体比 / LA / ICP-MS / 環境試料の直接分析 / 環境鉛 / 動態解析 / 大気粉塵 |
Research Abstract |
大気粉塵中の鉛の起源解析を行うには、一般にエアサンプラーで粉塵を捕集する。そこで捕集したフィルターのままでの測定について、主にLA/ICP-MS法について検討した。まず測定値規格化のための標準試料を調製した。標準試料は実試料と同じ状態であることが望ましいが、標準試料をエアサンプラーで吸引してフィルター状に吸着させることは困難である。そこでフィルターに硝酸鉛溶液を滴下したものと硫化鉛粉末を付着させたものを調製した。まずNIST981標準試料を硝酸に溶解した後適宜希釈し、約10μlを約1cm角のガラス繊維ろ紙に滴下乾燥させた。一方、この硝酸鉛溶液より硫化鉛を調製し、硫化鉛約0.5mgほどをクロロホルムに懸濁させフィルターに滴下乾燥した。両者について5回繰り返し測定を行った結果、RSDが^<206>Pb/^<207>Pbについて溶液を滴下しものが0.80%、硫化鉛粉末を付着させたものが0.40%、また^<208>Pb/^<206>Pbについてはそれぞれ1.21%、0.61%となった。 そこで、この2種類のフィルターを標準試料として鉛同位体比が既知であるNIST1648都市浮遊粉塵を試料として測定を行った。NIST試料も実際にサンプリングしたものではないので、硫化鉛標準試料と同様にクロロホルムに懸濁させたものをフィルターに付着させ調製した。RSD(n-5)は^<206>Pb/^<207>Pbについては両者とも2%以下、^<208>Pb/^<206>Pbについては2.5%程度であった。また相対誤差を見ると、^<206>Pb/^<207>Pb、^<208>Pb/^<206>Pbとも2%以下であった。そこで実際にサンプリングした試料について測定を行ったところ、測定は可能であったがばらつきがみられた。精度を上げるためさらに検討が必要だと考えられるが、本法により、大気粉塵の直接鉛同位体比測定の可能性が見出された。
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Research Products
(1 results)