2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス子宮腺筋症と乳癌の発生と進展に与える内分泌攪乱物質の影響
Project/Area Number |
14580562
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
坂本 忍 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (80107317)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 子宮腺筋症 / 乳癌 |
Research Abstract |
精巣腫瘍の増加、精子数の減少、不妊の増加、乳癌の増加、子宮内膜症の増加などが「内分泌撹乱物質」との関連を懸念されている。我国の約13万人の女性が内膜症治療を受け、患者数は100万人を越えるとまで言われている。内膜症の発生と進展に与える内分泌撹乱物質の影響は、PCB、DDT、ビスフェノールAなどのように直接エストロゲンレセプターを介するものが先ず第一に考えられるが、ダイオキシン類のようにサイトカイン制御異常から免疫防御機構の破綻が原因することも大いに考えられる。一方、イソフラボンなど植物エストロゲンを含む大豆食品などを多く摂取する我国に乳癌の発生が少ないとする説もあながち否定はできない。そこで今回、子宮腺筋症(内性子宮内膜症)および乳癌の自然発生系マウスであるSHNマウスを用いて、子宮腺筋症および乳癌の発生・進展(増殖)に与える「内分泌撹乱物質(環境ホルモン)」の影響を検討した。 実験にはSHN雌マウスを用い、室温および日照時間をコントロールされた動物舎で飼育し、飼料および飲料水は自由摂取とした。一カ月齢で一群20匹ずつの群分けを行い、ケージはフィルター付の密閉式で、一ケージ5匹ずつとした。「内分泌撹乱物質」への暴露は飼料中への微量混合法または飲料水中への微量混合法を用い、屎尿処理は厳重に行っている。SHNマウスは商業的には購入不可能な閉鎖系のために、当該実験動物施設内でのみ自己繁殖が可能であり、繁殖作業と実験作業を平行して行っている。そのために研究計画は大幅に後れを取ってしまったが、植物エストロゲンを含有するマウス飼料を作製して、マウス子宮腺筋症および乳癌の発生と進展に与える植物エストロゲンの影響に関する研究は既にスタートしている。
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