2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による中心体チェックポイント制御におけるBRCA1蛋白質の役割
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14580569
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 啓司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00196809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 正己 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20111768)
児玉 靖司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00195744)
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Keywords | 放射線 / BRCA1 / 中心体 / リン酸化 |
Research Abstract |
今年度は以下の知見を得た。 1.正常ヒト二倍体細胞において、抗BRCA1抗体を用いた蛍光抗体法による検討から、BRCA1蛋白質が細胞核外で核膜周辺の領域に斑点状の存在形態を示すことを明らかにした。また、核外で見られるBRCA1蛋白質の斑点は1個の場合と2個の場合とがあり、2個の斑点を持つ細胞で常に核のサイズが約1.5倍大きいことがわかった。そこで、抗γ-チューブリン抗体を用いた二重蛍光染色法により1個の斑点は複製前の中心体と後者の2個の斑点は複製後の1対の中心体と一致することが明らかになった。以上の結果から、BRCA1蛋白質は細胞周期を通じて常に中心体と局在性を一致させることが明らかになった。 2.BRCA1蛋白質は核外の斑点状の存在形態とは別に核内で大きなフォーカスを形成している。細胞周期の解析から、核内に大きなフォーカスを持つ細胞はDNA合成期の細胞であった。このフォーカスはX線照射後1時間以内に一時的に消失し、再度よりサイズの小さなフォーカスとなって出現したが、このような核内でのBRCA1蛋白質の局在性変化にもかかわらず、核外の中心体に一致する斑点の局在性にはなんら変化がないことを発見した。 3.BRCA1蛋白質を欠損するヒト乳癌細胞HCC1937では、中心体の蛍光像が正常ヒト二倍体細胞のものと比べ極めて異常であることが明らかになった。まず、中心体複製期の前であるG1期の細胞で断片化した中心体が多数観察された。またとりわけ小さいサイズの中心体は本来の局在位置である核膜周辺から離れ、細胞質内に分布していることが明らかになった。更に中心体複製後のG2期の細胞で検討したところ、本来の中心体の数よりも多い3個以上の中心体を持つ細胞が多数観察された。増殖している細胞中に複数個の中心体が常時観察されることから中心体の数的不安定性が起こっていることを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mana Miyakoda: "Activation of ATM and phosphorylation of p53 by heat shock"Oncogene. 21. 1090-1096 (2002)
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[Publications] Kumio Okaichi: "Low dose of wortmannin reduces radiosensitivity of human glioblastoma Cells through the p53 pathway"Oncology Reports. 9. 859-862 (2002)