2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射線被曝とウイルス感染による健康影響への複合効果および機構解明
Project/Area Number |
14580578
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
相沢 志郎 放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター・放射線障害G, 研究員 (40159257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 昌伸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯総合研究科, 助教授 (10177834)
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Keywords | レトロウイルス / 放射線障害 / 複合効果 |
Research Abstract |
C3HマウスにFLVを感染きせ、1週後3Gyのγ線を全身照射すると、造血器系の細胞とくに赤芽球系の細胞に著明なアポトーシスが誘導され、また照射後約2週の経過でマウスは貧血を起こして死亡する。ところが、DBA/2マウスで同じことを行ってもアポトーシスの増強はほとんど起こらず、この現象についてはマウスの系統差が著しい。そこでC3Hマウス以外の系統のマウスではFLV感染によるアポトーシスの増強作用はないのかどうかを詳細に検討したところ、DBA/2、BALB/c、C57BL/6、B10、B10BRマウスなど等のマウスではこの現象が起こらないのに対し、C3H、CBAマウスなどFv-5^aの遺伝子を持つマウスではアポトーシスの増強が起こることがわかった。FLV+TBIによって著明なアポトーシスを起こしたC3Hマウスの骨髄細胞ではp53タンパクの発現増強が起こっていること、その際、p53蛋白のSer18のリン酸化が特異的に起こっていることがわかった。また、DNA損傷後にp53の下流で作用すると考えられるp21やBaxといった遺伝子のmRNAレベルでの発現増強が認められ、アポトーシスの増強はp53活性化のレベルでの出来事であることが明らかとなった。DNA損傷後のp53関連アポトーシス経路中、その上流で活性化制御を行っている可能性のあるものとしてATM遺伝子やDNA-PK遺伝子について、C3HマウスバックグランドのATM-/-ノックアウトマウスおよびDNA-PKに機能欠損を伴うSCIDマウスについて同様の実験を行ったところ、どちらのマウスでもアポトーシスの増強効果ははっきりしなくなり、この現象にはATM遺伝子とDNA-PK遺伝子何れもが必要であることが示唆された。一方、生き死にに対する増強効果はいずれのマウスでも観察され、アポトーシスの結果とは異なることから、生き死にへの増強効果にはアポトーシス以外の別の要因が含まれる可能性が示唆された。現在さらに詳しい解析を加えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamaguchi S, Kitagawa M, Aizawa S, et al.: "In vivo distribution of receptor for ecotropic murine leukemia virus and Binding of envelope protein of Friend leukemia virus"Archives of Virology. (In press).
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[Publications] Kitagawa M, Aizawa S, et al.: "Friend leukemia virus infection enhances DNA damage-induced apoptosis of hematopoietic cells, causing lethal anemia in C3H host"Journal of Virology. 76. 7790-7798 (2002)
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[Publications] Tanaka K, Aizawa S, et al.: "Cytogenetic and cellular events during radiation-induced thymic lymphomagenesis in the p53 heterozygous (+/-) B10 mouse"Int J Radiat Biol. 78. 165-172 (2002)