2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイCGH法を用いたヒトゲノムGC含量境界領域における突然変異の研究
Project/Area Number |
14580579
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
小平 美江子 財団法人放射線影響研究所, 遺伝学部, 副主任研究員 (60344412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 規郎 財団法人放射線影響研究所, 遺伝学部, 副部長(研究員) (40333546)
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Keywords | マイクロアレイCGH法 / ヒトゲノムGC%含量境界領域 / 染色体高次構造 / 放射線 / 欠失変異 / HPRT遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトゲノム上ではGC含量の大きく変移するGC%境界領域で特殊な染色体高次構造をとる可能性が指摘されている。本研究は、この特定の染色体高次構造が放射線照射誘発欠失変異に関与するか否かを調べることである。本年度は、研究実施計画の一部を変更し、モデル系として、HPRT遺伝子近傍で生じた欠失変異の変異端の分布と周辺のGC含量分布を比較検討することで関与の可能性を検討した。 HPRT遺伝子のセントロメア(5')側約4Mb、テロメア(3')側約1.5Mb以内に位置することが報告されているBACクローン29個を付着させたアレイを作製した。このアレイを用いて、少なくともHPRT遺伝子の5'側または3'側のflanking領域に広がっている28株の放射線誘発HPRT欠失株の欠失範囲をマイクロアレイCGH法で解析することで、欠失範囲を効率よく決定できた。 HPRT欠失範囲は巨大であることが知られていたが、今回の解析で、報告されている以上に広い範囲、即ち、HPRT遺伝子の5'側3.5Mbから3'側1.5Mbに広がっていることがわかった。また、欠失端の分布に"hot spot"は定義できないが、偏りが認められる。即ち、5'端は20%が2.8〜3.2Mb、32%が0.5〜1.OMbに位置し、3'端は30%が0.3〜0.5Mb、17%が0.8〜1Mbに位置する。これらの分布とHPRT遺伝子周辺のGC%分布を100kbのwindow sizeでコンピューター解析した結果と比較した。HPRT遺伝子の5'側4〜4.5MbにGC%の大きな変移領域が定義できるが、この領域に欠失端なく、4ヶ所の偏りのある領域はGC%の小さい変移は認められるが、大きなGC%の変移領域に対応していない。今回の解析の結果、HPRT遺伝子近傍では、特殊な高次構造をとる可能性のあるGC%変移領域が放射線誘発欠失に関与している証拠は得られなかった。
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[Publications] Asakawa J.: "A Genome Scanning Approach to Assess the Genetic Effects of radiation in Mice and Humans"Radiation Research. (In press). (2004)
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[Publications] Sasaki M.: "Clinical Surveillance of surgical imipenem-resistant Pseudomonas aeruginosa infection in a Japanese hospital"Journal of Hospital Infection. 56. 111-118 (2004)
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[Publications] 小平美江子: "放射線照射で生じたヒト・HPRT(ヒポキサンチン-グアニンフォスフォリボシルトランスフェラーゼ)遺伝子座の大きな欠失解析をモデルとしたマイクロアレイ-CGH (Comparative Genomic Hybridization)法の特徴付け"広島医学. (In press). (2004)
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[Publications] Kodaira M.: "Analysis of human HPRT-deletion mutants by the microarray-CGH (comparative genomic hybridization)"Australian Institute of Nuclear Science and Engineering. 1 (2003)
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[Publications] Takahashi N.: "Study for genetic effects of atomic-bomb radiation by using of a DNA microarray-based comparative genomic hybridization (array-CGH) method"Australian Institute of Nuclear Science and Engineering. 1 (2003)