2002 Fiscal Year Annual Research Report
ケナフ繊維の表面改質による繊維強化プラスチックの高性能化とリサイクル方法の検討
Project/Area Number |
14580582
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
仙北谷 英貴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70313343)
|
Keywords | 天然繊維 / ケナフ / 複合材料 / プラスチック / リサイクル / 表面処理 |
Research Abstract |
アオイ科ハイビスカス属の植物であるケナフから繊維を採取し,その繊維を用いて成形した繊維強化プラスチックの力学的特性を評価し、そのリサイクル方法を検討する目的で研究を行った。 繊維の採取方法については、ケナフ原木の靭皮を等間隔に切断し、これを80℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液にて処理して繊維を得た。繊維に不飽和ポリエステル樹脂を含浸させることによって繊維強化プラスチックを成形し、曲げ弾性率及び曲げ強度を評価した。 まず、繊維の充てん率の影響を調べたところ、低充てん域においては弾性率・強度とも低下し、高充てん域においてはそれらが回復する挙動が観察された。次に、繊維長さの影響について検討したところ、強度については繊維長さ20mmまでの範囲では向上が見られなかった。一方、弾性率については繊維の長さが増加するに従って弾性率も増加した。しかし、長繊維を用いた場合にも繊維の引き抜きが観察され、界面の接着性が低いことが示唆された。そこで、繊維に表面処理を施すことにより、接着性を改善したところ、物性の改善が見られた。さらに、繊維の力学的特性を最大限に発揮させる目的で、繊維を一方向に配向させた繊維強化複合材料を成形し、特性の評価を行った。力学的特性は繊維の充てんによっておおむね向上した。繊維単独での強度を測定し、複合則による検討を行ったところ、弾性率については解析値と実験値がほぼ一致したが、強度については実験値の方が低い値となった。 本研究で使用した繊維強化プラスチックをアルカリで処理することにより、リサイクルする方法について検討した。その結果、高温・高濃度のアルカリ水溶液で処理することにより、繊維及び樹脂が分解することが明らかになった。廃棄物処理という観点からは有望であるが、リサイクルという観点で考えると、さらに詳細な検討が必要であることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 矢嶋倫明, 仙北谷英貴, 久保内昌敏, 津田 健, 高橋隆一郎: "ケナフ繊維強化プラスチックの特性評価"第32回FRPシンポジウム講演論文集. 187-188 (2003)