2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580591
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
樋高 義昭 愛媛大学, 理学部, 教授 (80036417)
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Keywords | クロロプロペン / 反応機構 / 素反応 / 反応中間生成物 / 速度定数 / 燃焼温度域 / 衝撃波管 / クロロエタン |
Research Abstract |
炭素数3の塩素化合物であるクロロプロペンの燃焼温度域(1000-1600K)での塩素化合物の消費及び生成の反応機構の解明を目的に研究を行った。これまで、クロロプロペンの燃焼温度域での反応は報告されておらない。クロロプロペンを1000-1600Kに加熱し、反応凍結後の生成物の解析、及び濃度経時変化の追跡により、以下の(1)、(2)示すの結果を得、それを基に、184個の素反応からなる反応機構を構築した。その中で13個の新しい反応を解明し、これらの素反応速度定数の決定を試み、測定結果の再現を行った。(1)反応物(クロロプロペン)の燃焼温度域での主な反応中間生成物はプロペン、プロピン、アレン、エチレン、アセチレン、メタン、1,3-ブタジエン、ベンゼン、塩化水素、水素であること,クロロプロペンの分解は、1050K以上の温度で起き、1500Kでは98%以上分解している事を明らかにし、加熱温度とそれら生成物量との関係を決定した。(2)波長3.39μmの赤外線レーザー吸収法を使用して、クロロプロペンの燃焼温度域中の各温度で濃度経時変化を測定し、温度と各化学種の生成物量との関係を決定した。これらの結果より、(R1)C_3H_5Cl→AC_3H_4(アレン)+HCl、(R2)C_3H_5Cl→C_3H_5+Cl,(R3)C_3H_5Cl→C_2H2+CH_3Cl、(R4)C_3H_5Cl→C_2H3+CH_2Cl、(R5)C_3H_5Cl+H→C_2H_4+CH_2Cl、(R6)C_3H_5Cl+H→C_3H_5+HCl、(R7)C_3H_5Cl+H→C_3H_4Cl+H2、(R8)C_3H_5Cl+Cl→C_3H_5+Cl_2、(R9)C_3H_5Cl+Cl→C_3H_4Cl+HCl、(R10)C_3H_5Cl+C_3H_5→C_3H_4Cl+C_3H_6等の反応が起きていることを明らかにし、これらの反応の速度定数を決定した。燃焼温度域でのクロロエタンとクロロプロペンの反応生成物量を比較すると、クロロエタンの炭素収支はほぼ100%とC6以上の炭化水素はほとんど生成されないが、クロロプロペンの炭素収支は60%となり、40%近くのクロロプロペンが芳香族炭化水素(含塩素化合物を含む)が生成している事を明らかにした。反応(R1)は高温では、低温での外挿値から推定される速度の1/10以下となり、高温では抑制されることが明らかとなった(反応(R1)は750K以下の低温で研究され、速度定数が報告されている)。反応(R2)は1100Kから起こり始め、1400Kではこの反応により、クロロプロペン初期濃度の約40%を消費することを解明した。
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