2002 Fiscal Year Annual Research Report
PRTR情報を用いた環境リスクのコミュニケーション手法に関する研究
Project/Area Number |
14580597
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村山 武彦 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00212259)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門内 輝行 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90114686)
関澤 純 国立医薬品食品衛生研究所, 化学物質情報部, 室長
|
Keywords | 環境リスク / リスクコミュニケーション / PRTR / 市民参加 / 合意形成 |
Research Abstract |
本年度は、まずこれまでに構築された有害化学物質に関するリスク情報システムの特性や、惰報システムの運用の場となるコミュニケーション手法に関する事例を整理し、効果と課題を抽出した。このため、既にPRTR惰報を用いて会合形式のコミュニケーションを進めている国内外の事例を調査し、会合の形式や進め方などの情報を整理した。 次に、地域レベルのコミュニケーションシステムに関するニーズ調査を実施した。本年度は埼玉県のダイオキシン対策室と協力して、同県内で化学物質の汚染源となりうる事業所を対象に質問紙調査を実施し、現在のリスクコミュニケーションに対する考え方やPRTR情報が公表された場合の対応などについて質問した。 また、本研究で試作する化学物質情報提供システムのためのハード的な整備を進め、PRTR情報(国や自治体で公表される加工データとともに、工場施設等が立地する地域では、個別施設ごとのデータの収集)、環境負荷の原因となる人間活動(生産、流通、消費、廃棄に資源循環を考慮した物質利用のライフサイクル)、環境の現状(化学物質の有害性に関する情報、関連物質の環境濃度、曝露による人体への摂取状況)、問題解決の取り組み(国内外の国、地方自治体等行政の取り組み、企業による取り組み、さらに社会的な対応としての市民の活動、報道の状況等)などをネットワーク上で提供するための準備を進めた。 さらに、埼玉県川越市において環境保全活動を実施している「かわごえ環境ネット」と協力して、同市に所在する2つの化学工場を対象に事業者、行政、地域市民の参加を得た会合を実際に開催し、リスクコミュニケーションを実践した。この結果から得られたコミュニケーションの成果と課題は現在整理中であり、次年度以降の本格的な実証分析に反映させる予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 村山武彦: "環境リスクをめぐる多様な主体間のコミュニケーション"都市問題. 第93巻第10号. 69-85 (2002)
-
[Publications] 関澤純, 村山武彦: "食品安全のリスクコミュニケーションはいかにあるべきか"日本リスク研究学会 第15回研究発表大会 講演論文集. 15巻. 246-252 (2002)
-
[Publications] 村山武彦: "環境リスク管理における予防原則の考え方"予防時報. 第211号. 14-19 (2002)
-
[Publications] 村山武彦: "環境リスク論の読み方-多様化するリスク評価と管理-"環境と公害. 第32巻第1号. 58-62 (2002)
-
[Publications] 門内輝行: "人間-環境系のデザインの展望-21世紀のデザインビジョン"新建築. 第78巻第1号. 94-97 (2003)