2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンB_<12>酵素における触媒機能の制御機構の解明
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14580627
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
飛松 孝正 岡山大学, 工学部, 助教授 (30188768)
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Keywords | ビタミンB_<12> / ラジカル酵素 / ジオールデヒドラターゼ / 酵素機能 / 部位特異的変異の導入 / 基質結合部位 |
Research Abstract |
ジオールデヒドラターゼのグリセロール結合部位残基への変異の導入と変異型酵素の機能解析 ジオールデヒドラターゼは生理的な基質であるグリセロールの脱水触媒反応中に機構依存的不活性化を受ける。この不活性化は,グリセロールの3位水酸基がαサブユニットの301番目のSer(Sα301)および336番目のGln(Qα336)の側鎖との間に水素結合を形成して,酵素反応中の水酸基移動に伴う炭素骨格の回転を妨げることが一因であると予測された。そこで,これらのアミノ酸残基をAlaに置換して水素結合を取り除くことで,機構依存的不活性化における両残基の寄与を明らかにしようとした。また,Alaに置換すると基質結合部位に空間的余裕が生じることから,長鎖の1,2-ジオールを基質とできるかどうかも検討した。 Sα301,Qα336をそれぞれAlaに置換した変異型酵素Sα301AとQα336Aおよび二重変異型酵素 Sα301A/Qα336Aの精製酵素を用いて酵素機能を解析した。グリセロールを基質としたとき,Qα336の変異体であるQα336AやSα301A/Qα336Aでは,触媒速度(k_<cat>)が1/9から1/8に,補酵素の親和性(K_m)が約1/20に低下し,不活性化までの触媒回転数(k_<cat>/k_<inact>)も減少していた。これに対して,Sα301Aではk_<cat>が約1/3に補酵素のK_mが約1/2に低下したものの,k_<cat>/k_<inact>は4割程度上昇していた。1,2-ブタンジオールを基質にしたとき,二重変異型酵素Sα301A/Qα336Aでは脱水触媒活性が野生型酵素の約3倍に上昇していた。さらに,野生型酵素がほとんど作用できない1,2-ヘキサンジオールもSα301A/Qα336Aのよい基質となることが示された。 以上の結果より,Qα336が触媒活性と機構依存的不活性化の防止に重要であること,およびSα301がグリセロールによる機構依存的不活性化に関与することが示唆された。また,Sα301AおよびQα336Aへの変異により鎖長の伸びた1,2-ジオールを基質とする酵素へと改変できることが示された。
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