2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580636
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
金森 審子 愛知県がんセンター, 分子病態学部, 研究員 (00261173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター, 分子病態学部, 部長 (80161389)
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Keywords | シアル酸 / 細胞接着 / セレクチン / 遺伝子単離 |
Research Abstract |
シアル酸含有糖鎖をリガンドとする接着分子は、シアル酸のカルボキシル基を認識する例が多く報告されている。我々は最近、シアル酸のカルボキシル基を失わせる新規な修飾構造(以下、サイクリックシアル酸と表す)をセレクチンリガンド上に見い出した。この修飾は、シアル酸を介した細胞接着の強さを調節すると推測される。本研究では、サイクリックシアル酸の発現機構を分子レベルで明らかにし、シアル酸含有糖鎖を介した細胞接着の調節機構の解明を目的として解析を進め、以下のような成果を得た。 まず、サイクリックシアル酸生成に携わる酵素、シアル酸シクラーゼの遺伝子単離を発現クローニング法により試みた。その過程で、サイクリックシアル酸の発現が特定のサイトカインにより誘導された。この知見は、本修飾機構の生理的意義を解明する手がかりとなると期待される。次に、サイクリックシアル酸生成が行われる細胞内部位を検索した。サイクリックシアル酸認識抗体で常時陽性に染色されるYT細胞は、未処理の細胞を免疫染色した場合には、サイクリックシアル酸含有糖鎖の前駆体(通常のシアル酸含有糖鎖)を認識する抗体では染色されない。しかし、固定化とサポニン処理で細胞膜の透過性をあげると、前駆体を認識する抗体でゴルジ装置と思われる部位と細胞表層付近が染色され、前駆体の一部は細胞表層部まで運ばれた後、シアル酸がサイクリックシアル酸に変換されることが示唆された。他方、セレクチンリガンドを安定発現させたヒトリンパ球系の細胞株をカルシウムイオノフォアで処理すると、サイクリックシアル酸含有糖鎖の発現が迅速に増加することが観察されている。これらの知見から、細胞内カルシウムイオンの濃度が上昇すると、細胞表層付近でシアル酸をサイクリックシアル酸に変換するシステムが稼動し、細胞接着を調節する機構が提示された。
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[Publications] Kanamori, A.: "Distinct sulfation requirements of selectins disclosed using cells that support rolling mediated by all three selectins under shear flow : L-selectin prefers carbohydrate 6-sulfation to tyrosine sulfation, whereas P-selectin does not"J. Biol. Chem.. 277. 32578-32586 (2002)
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[Publications] Hamada, T.: "NMR analysis of novel ganglioside GM4 analogues containing de-N-acetyl and lactamized silaic acid : probes for searching new ligand structures for human L-selectin"Magn. Reson. Chem.. 40. 517-523 (2002)
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[Publications] Hamada, T.: "NMR structure elucidation of cyclic sialyl 6-sulfo Lewis x, a biologically dormant form of L-selectin ligand"Tetrahedron Letters. 44. 1167-1170 (2003)