2002 Fiscal Year Annual Research Report
膜脂質情報変換酵素ホスホリパーゼDの細胞増殖・生存シグナルの制御機構解明
Project/Area Number |
14580646
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50116852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 義則 岐阜県国際バイオ研究所, 部長 (10021362)
中島 茂 岐阜大学, 医学部, 教授 (60188935)
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Keywords | ホスホリパーゼD / 膜脂質変換酵素 / 生存シグナル / Akt / ERK / 細胞増殖 / スフィンゴシン1-リン酸 |
Research Abstract |
ホスホリパーゼD(PLD)は産生されるホスファチジン酸(PA)を介してさまざまな情報伝達系と活発にクロストークし、重要な情報変換酵素であることが近年明らかにされてきた。高等動物PLDには2種類のアイソザイム(PLD1,2)があり、各種アゴニスト刺激により異なる機構で活性化され、低分子Gタンパク質、PKCやチロシンキナーゼが関与することを明らかにした。また、PLDの細胞機能(分泌などの迅速応答ならびに長期応答の増殖、分化、アポトーシスなど)における関与について検討を行い、肝再生のS期や肝がん細胞および腎がん組織の核にPLD1,2の高活性が認められた。また、PLD2遺伝子SNP解析によりThr577/IIe多型が大腸がんで高いことが見いだされ、PLDが増殖やがん化に関与することを示唆した。一方、神経細胞(PC12細胞)の酸化ストレス(H202)の初期応答として著しいPLDの活性化が起こり、EGFRのチロシンリン酸化やERKが関与することを示唆した。また、PLDの活性上昇がアポトーシス誘導を抑制することが示されており、SurvivalシグナリングにおけるPLDの役割を明らかにするために、PLD1,2の過剰発現細胞を用いて検討した。スフィンゴシン1-リン酸(S1P)の受容体S1P3過剰発現CHO細胞にPLD1およびPLD2を過剰発現し、増殖(S1P, IGF)刺激によるPLD、AktおよびERKの活性化を検討したところ、PLD過剰発現によりAktとERKの活性化が増強され、これらの活性化は1-butanolにより阻害された。両ERKの活性化はRasDNにより阻害されるが、Aktの活性化は影響されなかった。またIGF刺激によるAktの活性化はPLD1,2過剰発現によって影響されないことから、PLDの関与はRasに関係しており、受容体により異なることが示された。一方、CHO細胞をアクチノマイシンD(AMD)処理するとアポトーシスが誘導されるが、PLD1,2過剰発現により抑制されることを見いだした。AMDによるアポトーシスシグナルには、カスパーゼ依存的なPKCδの分解が関与し、PLD1,2の過剰発現によりPKCδの分解が抑制された。また、AMDによるERKやS6Kの活性化がPLD1,2導入により増強された。以上の結果から、PLD1,2は増殖・生存シグナリングの活性促進に関与していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chen, J. et al.: "The inhibitory effect of local anesthetics on bradykinin-induced phospholipase D activation in rat pheochromocytoma PC 12 cells"Anesth. Analg.. 95. 88-97 (2002)
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[Publications] Osawa, Y. et al.: "Tumor necrosis factor alpha-induced interleukin-8 production via NF-kappaB and PI 3-kinase/Akt pathways inhibits cell apoptosis in Human hepatocytes"Infect. Immun.. 70. 6294-6301 (2002)
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[Publications] Wang, S. et al.: "Two forms of membrane-bound sphingosine kinase in Tetrahymena and activity changes during growth and the cell cycle"J. Euk. Microbiol.. 49. 305-311 (2002)
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[Publications] Akao, Y. et al.: "Ceramide accumulation is independent of camptothecin-induced apoptosis in prostatae cancer LNCaP cells"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 294. 363-370 (2002)
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[Publications] Tan, Z.et al.: "Involvement of the mitogen-activated protein kinase family in the tetracaine-induced PC12 cell death"Anesthesiology. 96. 1191-1201 (2002)
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[Publications] Banno, Y. et al.: "Involvement of Phospholipase D in insulin-like growth factor-I-induced activation of ERK, but not PI 3-kinase or Akt, in Chinese Hamster ovary cells"Biochem. J.. 369. 363 (2003)