2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンの生合成過程におけるD環反転機構の解明
Project/Area Number |
14580658
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小俣 義明 久留米大学, 医学部, 助教授 (20268840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 寛 久留米大学, 医学部, 講師 (70309748)
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
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Keywords | ポルフィリン / ウロポルフィリノーゲン / ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素 / 先天性骨髄性ポルフィリン症 / ハイドロキシメチルビラン / ハイドロキシメチルビラン合成酵素 |
Research Abstract |
生物にとって必須な分子であるポルフィリンは4つのピロール環が縮合したものであるが、その側鎖はD環のみ他の3環と異なる配置をしている。これは生合成過程中で一旦同じ向きに順次縮合されたハイドロキシメチルビラン(HMB)がHMB合成酵素(HMBS)によって生成された後でウロポルフィリノーゲンIII合成酵素(UROS)によってD環の再配置が行われる結果である。先天性骨髄性ポルフィリン症(CEP)患者ではUROS活性が低い為にHMBは非酵素的にウロポルフィリノーゲンIに変換し、これは生理的に利用されずに蓄積し重篤な症状を起こす。本研究ではヒトHMBSとUROSの大腸菌での発現系を確立し、酵素の精製を行った。大腸菌の粗抽出液中でUROS活性は速やかに低下してしまったが、溶菌時にグリセリンを添加することによって2日程度は活性が維持されることが判り、HPLCを用いて48時間以内に完了できる精製方法を確立した。精製したUROSはこれまでに報告されている例に比べて熱安定性が高く、DTTやEDTAの添加によって更に安定性が増した。このことから活性の低下にはCys残基が関与していると考えられ、熱処理による活性低下とCys残基数の関係を検討した。その結果、8残基あるCysの中で1残基は酵素内部に埋没しており、熱処理の初期においては埋没したCysのみが変化し、その1残基の変化によって酵素活性は20%にまで低下することが判った。2001年に発表されたヒトUROSの結晶構造から推定すると埋没した残基の候補としてCys73が考えられ、これはCEP患者に共通して最も多く見られる変異がCys73→Argであることと合致している。この結果について現在論文投稿中である。
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