2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンの生合成過程におけるD環反転機構の解明
Project/Area Number |
14580658
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小俣 義明 久留米大学, 医学部, 助教授 (20268840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
坂本 寛 久留米大学, 医学部, 講師 (70309748)
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Keywords | ポルフィリン / ウロポルフィリノーゲン / ウロポルフィリノーゲンIII合成酵素 / 先天性骨髄性ポルフィリン症 / ハイドロキシメチルビラン / ハイドロキシメチルビラン合成酵素 |
Research Abstract |
ポルフィリンは4つのピロール環が縮合したものであるが、生物が通常利用するポリフィリンはピロール環の側鎖が分子の中心に対して非対称な配置をしている。これは生合成過程中で、ハイドロキシメチルビラン(HMB)合成酵素(HMBS)によって一旦同じ向きに順次縮合された後でウロポルフィリノーゲンIII合成酵素(UROS)によってD環の再配置が行われる結果であることが知られている。先天性骨髄性ポルフィリン症(CEP)患者ではUROS活性が低い為にHMBは非酵素的にウロポルフィリノーゲンIに変換した後、生理的に利用されることなくコプロポルフィリノーゲンIとして蓄積し重篤な症状を起こす。生体試料から単離したUROSは特に熱に対して不安定であり、酵素学的研究は今まであまり行われていない。本研究では昨年度までにヒトUROSの大腸菌での発現系及び迅速な精製法を確立し、熱安定性が極めて高い精製標品を得ることができた。精製酵素の熱処理による活性低下とCys残基数の関係を検討した結果、酵素内部に埋もれたCys残基が酵素活性に強く関わっていることが示唆された。結晶構造から、内部に存在すると推定されるCys残基はCys73であり、これはCEP患者に共通して最も多く見られる変異がCys73→Argであることと合致している。残基特異的な化学修飾により反応には塩基性アミノ酸が関与することが考えられたので、想定されている基質結合部位近傍に存在する6Lys、1Arg、1His残基をそれぞれAlaに変異させた酵素の活性とパラメーターを測定した。活性を変化させる変異は酵素分子の片側に存在する残基に集中しており、基質は偏って結合すると考えられた。更にK_mを増加させる変異とk_<cat>を減少させる変異があることから、基質結合に直接関与する残基と酵素活性に関与する残基に区別することができた。
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Research Products
(5 results)