2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ抗体遺伝子組換えにおけるクロマチン構造の役割
Project/Area Number |
14580689
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
太田 邦史 理化学研究所, 染色体動態制御研究ユニット, 副主任研究員 (90211789)
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Keywords | 組換え / 転写制御 / クロマチン / ヒストンアセチル化 / 抗体遺伝子 / 組換え活性化 / 対立遺伝子排除 |
Research Abstract |
本研究ではニワトリDT40細胞の抗体遺伝子座における遺伝子組換え(遺伝子変換)の制御機構をクロマチンレベルで解析する。本年度は、遺伝子変換の起きる抗体遺伝子座の対立遺伝子間における遺伝子変換・転写活性の相異に着目し、両対立遺伝子間でクロマチン構造の差異を間接末端標識法などで検証した。その結果、遺伝子変換を活発に行う対立遺伝子座では、ヌクレオソームの配置が疎になっている一方で、不活性な対立遺伝子ではヌクレオソームが密に配置し、DNAのアクセシビリティーが低下していることが明らかになった。また、両対立遺伝子座におけるヒストンアセチル化レベルを抗アセチル化ヒストン抗体によるクロマチン免疫沈降法で調べたところ、組換え・転写が活発な対立遺伝子では、不活性な対立遺伝子に比べて、有意にヒストンアセチル化レベルが高くなっていることを見出した。活性型対立遺伝子のアセチル化レベルは、他の転写活性の高い領域と同程度であり、活性型対立遺伝子座における転写活性と相関していると考えられる。 次に、DT40細胞をヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)で処理し、抗体遺伝子座における組換えや転写に及ぼす影響を調べた。その結果、低濃度のTSA処理によって抗体遺伝子座における遺伝子変換頻度が100倍程上昇すること、転写活性は組換え活性を示す対立遺伝子においてのみ処理初期に数倍程度増大したが、長期間のTSA処理では漸減することを見出した。一方ヒストンアセチル化レベルは活性型・不活性型両対立遺伝子で上昇していた。以上の結果は、1)組換え活性と転写活性は正の相関を示す、2)組換え・転写の活動度は必ずしもヒストンアセチル化レベルと一致しないことを示す。組換え活性化における転写の役割について、誘導可能な転写プロモーターを持つ組換えマーカー遺伝子を染色体に導入し、転写と組換えの関係を調べている。
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[Publications] Pecina A, Smith KN, Mezard C, Murakami H, Ohta K, Nicolas A: "Target stimulation of mejotic recombination"Cell. 111. 173-184 (2002)
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[Publications] Marin A., Gallardo M., Kato Y., Shirahige K., Gutierrez G., Ohta K., Aguilera A.: "Relationship between G+C content, ORF-length and mRNA concentration in Saccharomyces cerevisiae"Yeast. (in press). (2003)
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[Publications] Farah JA, Hartsuiker E, Mizuno K, Ohta K, Smith GR: "A 160-bp palindrome is a Rad50.Rad32-dependent mitotic recombination hotspot in Schizosaccharomyces pombe"Genetics. 161. 461-468 (2002)