2003 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSF受容体を介する好中球分化誘導のシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
14580700
|
Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村上 宏 岡山大学, 工学部, 助教授 (90260174)
|
Keywords | シグナル伝達 / 顆粒球コロニー刺激因子 / 受容体 / 細胞増殖 / 分化誘導 / 好中球 / サイトカイン |
Research Abstract |
G-CSF受容体にランダムに変異を導入し、好中球分化誘導能が欠損した(増殖停止欠損、G-CSF存下増殖し続ける)新たな受容体変異を同定した。この変異型受容体の解析の結果、好中球分化形質のうち、増殖停止、核の分葉化誘導に受容体は、C末端22アミノ酸残基の領域が関与し、受容体C末端領域の欠失により、Stat5の活性化が継続し、分化誘導が阻害されると考えられた。C末端欠失受容体発現細胞での、このStat5の活性化維持は、これまで報告があった、受容体の細胞内取り込み不能によるものではない事が確認された。一方で、受容体C末端22アミノ酸残基の領域内の極性アミノ酸残基が他のシグナル伝達因子と相互作用する可能性が高いので、この領域内の2ヶ所の酸性アミノ酸に富む領域の酸性残基をそれぞれアラニンに置換した受容体を構築し、G-CSF刺激依存の応答を解析した。その結果、受容体C末端に存在するグルタミン酸残基の置換変異により、G-CSF刺激依存のStat5の活性化が阻害された。よって、受容体C末端領域が直接または間接的にStat5の活性化を制御していると考えられた。一方、好中球分化誘導マーカーであるMPO遺伝子の発現は、受容体C末端36アミノ酸残基の欠損で失われた。したがって、この領域内にStat5の活性化とは異なりMPO遺伝子の発現に関与するシグナル伝達経路も存在することが示唆された。
|