2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内自己分解を担うオートファジー:分子機構及び発生・分化・疾患との関係の解析
Project/Area Number |
14580706
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
吉森 保 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (60191649)
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Keywords | タンパク質分解 / オートファジー / 遺伝子破壊 / タンパク質凝集 / 代謝回転 / リソソーム / ハンチントン舞踏病 / オートファゴソーム |
Research Abstract |
リソソームは、外部から取り込んだ物質の消化に加え細胞自身の構成成分分解の主要な場としても機能している。この自己分解は、オートファジーと呼ばれる機構により細胞質やオルガネラの一部がリソソームに運び込まれることで遂行される。オートファジーは日常的な代謝回転に寄与するだけではなく、状況に応じて著しく促進されて大規模な細胞質・オルガネラの分解を行うことで、細胞・組織の再編成を臨機応変に行うと考えられる。また神経変性疾患等で見られる異常蛋白質等の蓄積時にオートファジーの亢進が観察されており、その病理的な意義が注目されている。本研究では、未知の部分の多いオートファジーについて、その分子機構の解析を行うと同時にその役割を探ることを目的とした。まず、オートファジーを担う膜構造オートファゴソームに結合することを見出したラットのLC3タンパク質のホモログである哺乳類のGABARAPとGATE16が、LC3同様の翻訳後修飾を受けてオートファゴソームに結合することを見出した。酵母ではLC3ホモログは一つしかないので、高等動物のオートファジーに特有の機構や制御の存在が窺われる。次にポリグルタミンの細胞内凝集(ハンチントン舞踏病などの原因)やα_1アンチトリプシン変異体の細胞内蓄積(肝疾患の原因)を、培養細胞において再現する系を作りオートファジーの関与を検討した。その結果、オートファジーに必須のAPG5遺伝子を破壊しオートファジーが不能になったマウスES細胞では、これらの異常蛋白質の蓄積や凝集が正常細胞より著しく亢進することが判明した。APG5遺伝子破壊細胞における異常タンパク質の分解が低下していたことから、オートファジーがこのようなタンパク質の分解除去に寄与していることが強く示唆される.
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[Publications] Nara A, 他: "SKD1 AAA ATPase-dependent endosomal transport is involved in autolysosome formation"Cell Struct. Funct.. 27. 29-37 (2002)
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[Publications] Suzuki T 他: "The first molecular evidence that autophagy relates rimmed vacuole ormation in chloroquine myopathy"J Biochem. 131. 647-651 (2002)
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[Publications] Mizushima N: "Mouse Apg10 as an Apg12 conjugating enzyme : Analysis by the conjugation-mediated yeast two-hybrid method"FEBS let. 532. 450-454 (2002)
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[Publications] Mizushima N: "Mouse Apg16L, a Novel WD Repeat Protein, Targets to the Autophagic Isolation Membrane with the Apg12-Apg5 Conjugate"J. Cell Sci. (印刷中). (2003)