2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表面のガラクトースの発現制御による癌細胞の増殖抑制機構の解析
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14580707
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
古川 清 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所・増殖分化制御研究グループ, 副参事研究員 (10190133)
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Keywords | 癌細胞 / 細胞増殖 / β-1,4-ガラクトース転移酵素 / 糖鎖構造 / ガラクトース受容体 |
Research Abstract |
細胞の癌化の過程でβ-1,4-ガラクトース転移酵素(β-1,4-GalT)ファミリーの遺伝子発現を解析すると、IIが下がり、Vが上がることを見いだした。次に癌細胞でIIを上げたりVを下げると、腫瘍形成が抑制されることを見つけた。これらの腫瘍塊から糖タンパク質を調製し、ヒドラジン分解後、遊離オリゴ糖をピリジルアミンで標識し、ODS-カラムとアミドカラムを用いた二次元マッピング法で同定した。その結果、対照の癌細胞の糖鎖は完全にガラクトシル化されているのに対して、β-1,4-GalT IIやVの遺伝子発現を元のレベルに戻した癌細胞の糖鎖にはガラクトースを欠いた複合型二本鎖、三本鎖、四本鎖が特徴的に見られた。こうした糖鎖の出現が、増殖抑制活性と相関するのか、今後の課題となった。 一方細胞の増殖制御に、細胞表面のガラクトースを末端にもつ糖鎖とそれを認識する受容体が存在する可能性が考えられている。そこでマウスB16メラノーマ細胞の膜タンパク質を表面活性剤を含む溶液で可溶化し、これをヒトトランスフェリンやヒトα1-酸性糖タンパク質からシアル酸を除去しガラクトースを露出した糖タンパク質を固定したカラムで分画すると、ガラクトース結合タンパク質として33K,36K,42Kのタンパク質バンドが、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により得られた。プロティンシークエンサーによりアミノ酸配列を解析したが、33K,36Kの一次配列は既知のタンパク質と一致せず、また42Kのタンパク質バンドはN-末がブロックされており、内部配列を解読する必要がでてきた。 遺伝子操作をした癌細胞を用いているだけではこの機構を解明するのが大変なので、正常細胞も同様に解析し比較する必要があると判断されたので、来年度の研究計画に組み入れる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Kitamura: "Prognostic significance of reduced expression of β-N-acetylgalacto-sami-nylated N-linked oligosaccharides in human breast cancer"Intern. J. Cancer. 105(in press). (2003)
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[Publications] I.Kuwahara: "Changes in N-glycosylation of human stromal cells by telomerase expression"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 301. 293-297 (2003)
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[Publications] K.Morimoto: "Transgenic expression of EXT2 gene in developing chondrocytes enhanced the bone formation in mice"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 292. 999-1009 (2002)
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[Publications] Y.Akimoto: "Changes in distribution of the long form of type XII collagen during chicken corneal development"J. Histochem. Cytochem.. 50. 851-862 (2002)