2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表面のガラクトースの発現制御による癌細胞の増殖抑制機構の解析
Project/Area Number |
14580707
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Foundation for Research on Aging and Promotion of Human Welfare |
Principal Investigator |
古川 清 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所・増殖分化制御研究グループ, 副参事研究員 (10190133)
|
Keywords | 癌細胞 / 増殖制御 / β-1,4-ガラクトース転移酵素 / 糖鎖 / ガラクトース受容体 / 細胞密度 |
Research Abstract |
細胞が癌化すると細胞表面の糖鎖の構造が変化し、これが癌細胞の増殖異常や転移に密接に関係している。この過程でβ-1,4-ガラクトース転移酵素(β-1,4-GalT)ファミリーの遺伝子発現を解析すると、IIが下がり、Vが上がることを見いだした。実際、癌細胞でβ-1,4-GalT遺伝子のIIを上げる、またはVを下げると、腫瘍形成能が著しく抑制された。対照と増殖が抑制された腫瘍で細胞表面糖鎖の構造を二次元マッピング法で解析した結果、糖鎖の構造が多様に変化するため、遺伝子操作により変化し細胞の増殖制御に関与する糖鎮を特定することはできなかった。 そこで方針を変え、正常なマウス繊維芽細胞NIH3T3を用いて、細胞密度が飽和(100%)に達し増殖が停止する時に細胞表面のガラクトシル化やβ-1,4-GalT遺伝子の発現が変化するかどうかを解析した。その結果、細胞密度20%と100%の細胞を用いて解析すると、密度100%の細胞では80K,110K,120K,160K,230Kのタンパク質でガラクトシル化が著しく亢進すること、またβ-1,4-GalT IIの遺伝子発現が増大することを、見いだした。そこでNIH3T3細胞にアンチセンスβ-1,4-GalT II遺伝子を導入しβ-1,4-GalT IIの発現を抑制したところ、230Kのタンパク質のガラクトシル化が著しく抑制されることが判明した。この細胞が増殖異常を示すかどうか、現在解析を行なっている。こうしたガラクトースを末端にもつ糖鎖は、ガラクトース受容体と結合し、細胞の増殖制御に関与している可能性が考えられる。密度100%の細胞から細胞膜タンパク質を可溶化し、これをガラクトースを末端にもつ糖鎖を固定したカラムで分画すると、0.1Mガラクトースで溶出される画分に35Kのタンパク質が主要バンドとして得られた。これをMSで解析した結果、ガレクチン3であることが同定された。ガレクチン3は同種細胞の凝集に関与することが知られているので、このガレクチン3は細胞密度の増大に伴い亢進してくるガラクトースと結合し、増殖を制御している可能性が考えられる。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Kawado, T.: "Rapid cell senescence-associated changes in galactosylation of N-linked oligosaccharides in human lung adenocarcinoma A549 cells."Arch.Biochem.Biophys.. (印刷中). (2004)
-
[Publications] Kitamura, N.: "Involvement of tyrosine- phosphorylation in growth arrest of human neuroblastoma SH-SY5Y cells upon culture in Psathyrella velutina lectin-coated dishes."Res.Commun.Biochem.Cell & Molec.Blol.. (印刷中). (2004)
-
[Publications] Kitamura, N.: "Suppression of the proliferation and neurite extension of human neuroblastoma cells on immobilized Psathyrella velutina lectin."J.Neurosci.Res.. 75-3. 384-390 (2004)
-
[Publications] Kitamura, N.: "Prognostic significance of reduced expression of β-N-acetylgalactosaminylated N-linked oligosaccharides in human breast cancer."Intern.J.Cancer. 105・4. 533-541 (2003)
-
[Publications] Kuwahara, I.: "Changes in N-glycosylation of human stromal cells by telomerase expression."Biochem.Biophy.Res.Commun.. 301. 293-297 (2003)