2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウニ卵受精時Ca^<2+>-transientにおいて精子由来のNOは機能しているか?
Project/Area Number |
14580709
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒田 律 富山大学, 理学部, 助手 (50064879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 英世 富山大学, 理学部, 教授 (50064845)
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Keywords | ウニ卵 / 受精 / Ca^<2+>-transient / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
ウニ卵受精に際し、卵活性化に必須な一過性の細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)の上昇(Ca^<2+>-transient)に一酸化窒素(NO)は関与しているかいなか、今年度行った研究により以下4つの新たな知見を得る事が出来た。 1.NO合成酵素(NOS)阻害剤で受精時のCa^<2+>-transientを完全にブロック出来るかいなか、3種4つの阻害剤で試した。その中で、L-thiocitrullineで精子あるいは精子と卵を処理した場合、媒精後、受精電位発生による小さな[Ca^<2+>]_i上昇が起きる迄に長時間を要した。しかし、Ca^<2+>-transientの時間経過、[Ca^<2+>]_iのピーク値は未処理のコントロール卵と大差なかった。この結果からは、精子由来のNOがウニ卵受精時のCa^<2+>-transientに関与していないのか、逆に、大変重要なのか、どちらとも言えない。 2.L-thiocitrullineで受精時の卵のNO発生はブロック出来なかった。精子によると推察出来るようなごく初期のNO発生も認められなかった。しかし、変化は極めて小さく、まだ検討を要する。 3.NO感受性可溶性guanylyl cyclase(sGC)を阻害するとされる1H[1,2,4]oxadiazolo[4,3-α]quinoxalin-1-one(ODQ)は、濃度依存的に受精電位発生からCa^<2+>-transientの立上がり迄の潜時を延長した。これは、NO→sGC→ryanodine receptor系という経路がCa^<2+>-transientの開始に極めて重要である事を示唆している。 4.L-thiocitrullineではCa^<2+>-transient開始点が予測出来ないので、卵の懸濁液を用いてinositol-1,4,5-trisphosphate(IP_3)とcyclic GMPを定量する事は出来ない。そこで、ODQ阻害卵で両者の変化を測定した。媒精直後のcyclic GMPの増加はなく、IP_3の増加開始が著しく遅れた。これは前項の結果と符合する。 来年度は、精子によるNO発生とその阻害を検出、oxyhemoglobinによるCa^<2+>-transient、NO発生の阻害、IP_3 receptor系の阻害剤、Ca^<2+> channel blocker等とODQ等との共用等を試みる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakano, T.: "Difference of the ryanodine receptor pathway in the manner of Ca^<2+> mobilization with the IP_3 receptors system in fertilization of sea urchin eggs"Zoological Science. 19supplement(in press). (2002)
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[Publications] Kuroda, H.: "Does the ryanodine system stimulate IP_3 production during fertilization of sea urchin eggs?"Zoological Science. 19supplement(in press). (2002)