2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳に発現する脂肪酸結合タンパクの機能解明-ドコサヘキサエン酸(DHA)との関連-
Project/Area Number |
14580720
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大和田 祐二 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20292211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 尚武 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20004723)
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Keywords | アストロサイト / 脂肪酸結合タンパク / マウス / LTP / 記憶 / 学習 / ドコサヘキサエン酸 |
Research Abstract |
歯の発達および神経細胞の可塑性調節に、脂肪酸が重要な役割を担っていることが示唆されている。しかし、脂肪酸の神経細胞の機能調節機序については、現在全く不明である。本研究では、脳に発現する3種類の脂肪酸結合タンパク(脳型B-、上皮型E-および心臓型H-FABP)の生体機能を解明する目的で、B-、E-、H-FABPノックアウトマウスの樹立および神経系における表現型解析を施行し、以下のような結果を得た。 B-FABPノックアウトマウスでは、脳の形態学的異常は認められなかったものの、脳内ドコサヘキサエン酸(DHA)の低下を認め、受動回避試験や高架十字試験などの行動学的解析からは恐怖の亢進や、攻撃性の低下が認められた。更にノックアウト由来の培養海馬神経細胞では、NMDA受容体のDHAに対する反応性の低下を認めた。 E-およびH-FABPノックアウトマウスも、B-FABPノックアウトマウス同様、形態学的な異常は認められなかったものの、行動学的解析からは、野生型マウスに比べて、有意な恐怖の亢進と攻撃性の低下を示した。 以上の結果から、脳に発現するFABP分子が、恐怖や攻撃性に関連するモノアミン系の神経回路形成および神経伝達に深く関与していることが示唆された(以上の結果は、現在欧文誌に投稿中である)。
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[Publications] S Abdelwahab, Y Owada, H Kondo: "Localization of brain-type fatty acid binding protein in Kupffer cells of mice and its transient decrease in response to LPS"Histochemistry and Cell Biology. 119. 469-475 (2003)
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[Publications] N Kitanaka, Y Owada, H Kondo: "Specific localization of epidermal-type fatty acid binding protein in dendritic cells of splenic white pulp"Histochemistry and Cell Biology. 120. 465-473 (2003)
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[Publications] N Takano, Y Owada, H Kondo: "Cloning and characterization of a novel variant of mouse M-rdfBβ, and its mRNA localization in mouse brain in comparison with other M-rdgBs"Journal of Neurochemistry. 84. 829-839 (2003)
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[Publications] Y.Owada, H Kondo: "Cellular Proteins and their Fatty acids in Health and Disease"Duttaroy AK and Spender F eds, Wiley-VCH. 460 (2003)