2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経結合形成時における細胞膜関連分子機能動態の生組織イメージング
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14580723
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University, Graduate School |
Principal Investigator |
井上 明宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80322080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 繁男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60204012)
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Keywords | シナプス後肥厚部 / 組織培養系 / シナプス形成 / GFP / アデノウイルスベクター / シンドビスウィルスベクター / 二光子励起レーザー走査顕微鏡 / Cre-loxP |
Research Abstract |
本研究の代表者、分担者らは、平成14年度までに、中枢神経細胞間のシナプス後肥厚部(PSD)に特異的に存在して膜を裏打ちすることで知られるPSD95やPSD-Zip45などの分子と、緑色蛍光たんばく質(GFP)との融合たんばく質を遺伝子工学的に作製して、アデノウィルスベクターを用いてマウス海馬スライス組織培養系に発現させ、生きた状態で二光子励起レーザー走査顕微鏡を用いて可視化し、その動態を経時的に観察してきた。 1)平成15年度は、まず海馬スライス組織培養系におけるCAI錐体細胞の限定された一部に特異的に、より安定して遺伝子を発現させるために、以下のようなシステムを確立した。すなわち、アクチン遺伝子プロモーター支配下でGFPを海馬で錐体細胞特異的な発現を起こさせるDNAコンストラクトをloxP配列で挟んで不活化しておき、そのトランスジェニックマウス新生児から作製したスライス標本に、Cre組換え酵素アデノウィルスベクターを感染させ、限定された錐体細胞のみを効率良く観察に適した状態で可視化することができた。 2)(1)のシステムを用いて、シナプス形成の過程を形態的により詳細に調べる目的で、CA1錐体細胞(シナプス後部細胞)はGFPで形態を可視化し、シナプス前部細胞のCA3錐体細胞には、単一細胞エレクトロポレーション法を用いてローダミンデキストラン色素を導入して蛍光標識した。そして、シナプス前部軸索の瘤状構造と後部の棘突起構造との接着部(シナプス部と推定される)の経時的な形態変化について調べた。結果として、すでにシナプスが形成されていると推定される接着部周辺の前部と後部の形態変化には正の相関があることを示した。 3)さらに生個体内でのシナプス形成の経時的観察を目指して、上記(1)のシステムを応用して、Cre組換え酵素アデノウイルスや、GFPを直接発現させるシンドビスウイルスベクターの脳内への注入実験を行った。発現が見られた細胞種の同定、発現の時間経過などの基礎的データを現在収集中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Usui, S.: "Synaptic targeting of PSD-Zip45(Homer 1c)and its involvement in the synaptic accumulation of F-actin."Journal of Biological Chemistry. 278. 10619-10628 (2003)
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[Publications] Ebihara, T.: "Synchronized formation and remodeling of postsynaptic densities : long-term visualization of hippocampal neurons expressing postsynaptic density proteins tagged with GFP."Journal of Neuroscience. 23. 2170-2181 (2003)
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[Publications] Enomoto, M.: "Migration and differentiation of neural progenitor cells from two different regions of embryonic central nervous system after transplantation into the intact spinal cord."European Journal of Neuroscience. 17. 1223-1232 (2003)
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[Publications] Nakazawa, T.: "p250GAP, a novel brain-enriched GTPase-activatine protein for Rho family GTPase, is involved in the NMDA receptor signaling."Molecular Biology of the Cell. 13. 2921-2934 (2003)
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[Publications] Inoue A.: "The dynamic organization of postsynaptic proteins : translocating molecules regulate synaptic function."Current Opinion in Neurobiology. 13. 332-340 (2003)