2002 Fiscal Year Annual Research Report
発生早期に起こる鳥類胚頚髄の運動神経細胞死の決定機序
Project/Area Number |
14580731
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
八木沼 洋行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90230193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 俊作 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20261795)
佐藤 昇 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00254756)
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Keywords | プログラム細胞死 / LIM転写因子 / レトロウイルスベクタ / 運動神経 / 頚髄 / ニワトリ胚 / エレクトロポレーション / Bcl-2 |
Research Abstract |
鳥類胚の発生の早期に、頚髄に特異的に運動神経細胞死が起こる。この細胞死は標的との関係が確立する前に起こり、標的由来の栄養因子が関与する細胞死とは異なる決定機序があるものと考えられている。今回、我々は、この死を免れた運動神経細胞が特定の運動神経のサブグループに属するか否かを、LIM転写因子の発現を調べることで明らかにした。通常の運動神経の発生を詳細に調べると、運動神経細胞の移動がほぼ終わる孵卵(E)7日では、前角に存在するIsl-1陽性の細胞は軸索を末梢に延ばしており体性運動神経細胞と考えられた。さらにその多くはIsl-2とLim3も発現しており体軸筋を支配するMMCの内側群であった。発生を遡って、E4で観察すると上記の群に加えて、Isl-1とIsl-2が陽性でLim3が陰性である細胞群が認められた。この細胞群はE3.5以前に最終分裂を終えており、E4では前角の中間部に位置していた。同じ発現パタンを示す運動神経細胞群は胸髄の肋間筋を支配するMMCの外側群で認められる。しかし、頚髄においては、このような細胞群はE5では観察されなくなる。これらの結果は、E4から5にかけて、Lim3の発現が上がるか、細胞死によって、この細胞群が排除されることを示唆する。Bcl-2遺伝子の導入によって不死化した群で、細胞死の終了後の時期に観察すると、Isl-1/2陽性でLim-3陰性のグループが認められたことから、細胞死によってこのような細胞群が消失した可能性が高い。さらに、電気穿孔法でLim-3の強制発現を行ったところ、この細胞死は導入側で顕著に抑制された。これらの結果は、この細胞死がIsl-1/2陽性でLim-3陰性であるような運動神経サブグループに特異的に起こることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sato, N., Sakuma, C., Kato, H., Milligan, C.E., Oppenheim, R.W., Yaginuma, H.: "Bcl-2 rescues motoneurons from early cell death in the cervical spinal cord of the chicken embryo"J Neurobiol. 53. 381-390 (2002)
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[Publications] Homma, S., Yaginuma, H., Vinsant, S., Seino, M., Kawata, M., Gould, T., Shimada, T., Kobayashi, N., Oppenheim, R.W.: "Differential expression of the GDNF family receptors RET and GFRalpha1, 2, and 4 in subsets of motoneurons : A relationship between motoneuron birthdate and receptor expression"J Comp Neurol. 456. 245-259 (2003)
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[Publications] Moro, T., Kikuchi, S., Konno, S., Yaginuma, H.: "An anatomic study of the lumbar plexus with respect to retroperitoneal endoscopic surgery"Spine. 28. 423-428 (2003)