2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳発達臨界期における修飾物質と環境による回路形成および行動の制御
Project/Area Number |
14580733
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Research Institution | DOKKYO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
上田 秀一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60150570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 伸一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (70337369)
中舘 和彦 獨協医科大学, 医学部, 助手 (80372895)
野田 隆洋 獨協医科大学, 医学部, 助手 (90364596)
鯉淵 典之 群馬大学, 医学部, 教授 (80234681)
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Keywords | 小頭症ラット / 行動 / 学習障害 / セロトニン / BrdU / 空間記憶 / モデル動物 / モノアミン |
Research Abstract |
1.脳障害モデルラットの、回路形成の変化 妊娠ラットにMAMを腹腔投与し作製した小頭症ラットを早期脳障害モデルとして解析した。神経病理的には大脳皮質および海馬に異所性脳組織が存在していた。BrdUによる神経細胞の新生時期の解析および、各種神経伝達物質の免疫組織化学の解析から、この異所性脳組織は、大脳皮質の成分が移動障害を起こし発生したことが明らかとなった。また神経化学的解析から小頭症ラット脳では、セロトニンおよびノルアドレナリンが大脳皮質、海馬、視床下部で増加していた。 2.脳障害モデルラットの行動の変化 MAMラットでは、空間記憶学習の獲得が悪く、かつOpen fieldにおける多動的行動が顕著であった。このラットをエンリッチ環境で育てると、空間記憶の獲得率が上昇した。この効果は、新生仔期にセロトニン神経毒を脳内に投与し、セロトニン神経を破壊したラットでは起こらなかった。 3.脳障害モデルラットの老化に伴う脳内変化 12ヶ月齢のMAMラットでは、モノアミン神経軸索の変性が多数観察された。この変化は正常老齢ラットでは18〜24ヶ月齢で観察されるものである。さらに大脳皮質・海馬においてはこの変性神経軸索は異所性脳組織の周囲に観察されることから、老化に伴う神経回路の変更が示唆された。 4.脳障害ラットモデルの学習能力回復に関する研究 小頭症ラットは通常の飼育ケージで飼育された場合、記憶・学習効果がない。しかし豊かな環境(広いスペース、複数ラット、種々のおもちゃ等)で飼育すると記憶・学習効果が有意差をもって存在した。さらに、この記憶・学習効果が海馬での神経細胞新生に基づくことを明らかとした。 本研究では、上記の中心的研究の他、(1)神経幹細胞の研究、(2)衝動的攻撃行動を起こすラットの研究(3)Zitterラットにおけるドーパミンリセプター変化の研究等も行った。
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Research Products
(5 results)