2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳C1^--ATPase51kDaサブユニットのクローニングとその機能解析
Project/Area Number |
14580753
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
服部 尚樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (80288828)
|
Keywords | クロライド / ATPase / アミロイドβ / PI / PIP4 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
細胞内Clは神経細胞の興奮性抑制に重要な役割を演じている。その濃度は受動的分布から予想される値より低く保たれており、GABAやグリシンなど抑制性神経伝達物質によるClチャネル開口時のClによる過分極を可能にしている。我々は、Clによって活性化され、ATPに依存したCl輸送活性を持つ新規蛋白質Cl-ATPase/Clポンプの存在を明らかにした。Cl-ATPasce/Clポンプは、神経細胞膜に存在し、Clを細胞内から細胞外へ能動的に輸送し、細胞内Cl濃度を低く保っていると考えられる。我々はCl-ATPase活性にphosphatidylinositol-4-monophosphate (PI4P)が必要であること、アルツハイマー病における神経毒性ペプチドamyloid β (Aβ)がPI, PIP, PIP2レベルを低下させ、Cl-ATPase活性も低下させることを報告した。今回、培養ラット神経細胞を用い、Aβによる神経毒性に対する外因性PI/PIP4の効果を検討した。AβによりCl-ATPase活性はコントロールの47%に減少し、細胞内Cl濃度は3倍に上昇した。PI/PIP4は濃度依存的にCl-ATPasc活性を回復し、細胞Cl濃度を正常化した。Aβ処置により、グルタミン酸神経毒性の増強が認められたが、PI/PIP4の投与はこれを抑制した。以上より、PI/PIP4はAβによるCl-ATPase活性抑制を予防し、細胞内Cl濃度を正常化させ、グルタミン酸神経毒性を減弱させる作用を有することが示唆された。アルツハイマー病において重要な神経ペプチド(Aβ)による神経毒性に対するPI/PIP4の保護効果は、将来この疾患の治療、予防につながる可能性があり、重要な知見と考えられた。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] B.Wu, K.Kitagawa, K.Yagyu, N.Y.Zhang, N.Hattori, C.Inagaki: "Phosphatidylinositol and PI-4-monophosphate recover amyloid beta protein-induced inhibition of Cl^--ATPase activity"Life Science. 72. 455-463 (2002)