2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイド関連遺伝子操作マウスを用いたサイトカイン誘発睡眠の分子機構
Project/Area Number |
14580755
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (40025507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 三恵 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 特別研究員 (10353525)
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究部長 (10201360)
江口 直美 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究副部長 (10250086)
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Keywords | 炎症 / サイトカイン / IL-1β / TNF-α / 睡眠 / プロスタグランジン / 遺伝子ノックアウトマウス |
Research Abstract |
感染性の病気は睡眠量の増加と関連しており、アラキドン酸からプロスタグランジン(PGs)を転換させる酵素であるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を誘導する炎症誘発性のサイトカインの産生を起こす。PGD_2はPGsの中でもっとも強力な睡眠誘発作用を持っており、代表的な炎症性サイトカインであるIL-1βは睡眠を誘発するが、COX-2阻害剤の投与によりこれらの効果が阻害されるため、IL-1βによる睡眠誘発はPGsの生合成を介して起きると考えられてきた。我々は、PGD_2およびCOX-2に着目し、IL-1βによる睡眠誘発作用との関係を、PGD_2受容体遺伝子欠損マウスを用いて解析した。野生型マウスにIL-1βを投与すると、投与直後から6時間のノンレム睡眠が約2倍まで増加した。PGD_2受容体遺伝子欠損マウスを用いて同様の実験を行ったところ、IL-1β投与によるノンレム睡眠誘発は野生型マウスとほぼ同程度に起こることが明らかになった。続いて、マウスにおけるIL-1βの睡眠誘発作用へのCOX-2の関与を調べるために、選択的COX-2阻害剤であるNS-398を用いて同様の実験を行った。野生型マウスにNS-398(10mg/kg体重)の投与を行ったところ自発睡眠は阻害されなかった。また、IL-1βを投与前にNS-398の前処置を行ったところ、NS-398はIL-1β誘発睡眠を阻害せず、投与後の6時間で、それぞれ、IL-1β投与群で59.4分、NS-398およびIL-1β投与群で54.68分のノンレム睡眠量の増加が観察された。これらの結果は、ラットで得られていた従来の結果と異なり、マウスではIL-1βによるノンレム睡眠量の増加にはPGD_2およびCOX-2が関与していないことを示している。以上より、マウスでは細菌あるいはウィルス感染時にラットとは異なる睡眠誘発機構が働いていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fujimori, K.: "Regulation of lipocalin-type prostaglandin D synthase gene expression by Hes-1 through E-box and interleukin-1 β via two NF-κB elements in rat leptomeningeal cells."J.Biol.Chem.. 278. 6018-6026 (2003)
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[Publications] Huang, Z.-L.: "Prostaglandin B2 activates the histaininergic system via the EP4 receptor to induce wakefulness in rats."J.Neurosci.. 23. 29-34 (2003)
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[Publications] Hayaishi, O.: "Oxygenases."Encyclopedia of Biological Chemistry. in press. 2845-2852 (2004)