2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトでのvisuomotor transformationの神経機序に関する研究
Project/Area Number |
14580765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺尾 安生 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20343139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇川 義一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50168671)
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Keywords | 磁気刺激 / virtual lesion / visuomotor transformation / 大脳半球優位性 / 運動野 / 反応時間 / ヒト / 前頭前野 |
Research Abstract |
ヒトでのvisuomotor transformationの神経機序について調べるため、二年間で以下の実験を行なった。用いた課題は画面上に提示される視覚刺激に指定された通りに、右手か左手で、右か左のボタンを押すというものである。被験者が課題を施行している間に磁気刺激を加えることにより課題の遂行を遅らせることができた。即ち視覚刺激が提示されてからボタンを押すまでの時間が、磁気刺激しない場合に比較して延長した。これは磁気刺激が皮質内情報処理を妨害したためにおきると考えられた。 どの皮質部位がこのような情報処理に最もかかわっているかを調べるため、さまざまなタイミングで、様々な皮質領域の直上で局所的な磁気刺激を行った。その結果、頭頂葉、前頭葉、運動野など様々な皮質領域が課題の遂行に関わっていることが明らかになった。また磁気刺激の効果がある皮質部位は、時間とともに頭頂葉・前頭葉から、運動野と変化した。従ってvisuomotor transformationの際に必要な情報処理にはこのような"流れ"が存在すると考えられた。 さらに左右の半球がvisuomotor transformationにどのように関わっているかも検討した。その結果、情報処理は左右両半球で同時並行的に行われるが、左半球と右半球は情報処理への関与の仕方が異なることも示された。左半球を刺激した場合には、左右両手の反応時間が遅れたが、右半球を刺激した場合には、右手の反応時間のみが遅れた。その理由として、右手の反応を準備する際には、左半球から右半球に向かう皮質間の情報処理の流れが存在することが考えられた。それに対し、左手の反応を行なう際の運動準備は主として左半球内で行なわれると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Okabe S, Hanajima R, Ohnishi T, Nishikawa M, Imabayashi E, Takano H, Kawachi T, Terao Y, Ugawa Y et al.: "Functional connectivity revealed by single-photon emission computed tomography(SPECT) during repetitive transcranial magnetic stimulation(rTMS) of the motor cortex"Clinical Neurophysiology. 114. 450-457 (2003)
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[Publications] Terao Y, Ugawa Y: "Basic mechanisms of TMS"Journal Clinical Neurophysiology. 19. 322-343 (2003)
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[Publications] 寺尾 安生, 宇川 義一: "視覚的に提示された運動情報の統合に関わる中枢神経機構"臨床神経生理学. 31. 400-407 (2003)