2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14580801
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石井 直明 東海大学, 医学部, 助教授 (60096196)
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Keywords | ミトコンドリア / 電子伝達系 / 複合体II / シトクロームb / 活性酵素 / マウス培養細胞 / アポトーシス / 形質転換 |
Research Abstract |
これまで、ミトコンドリア電子伝達系複合体IIのサブユニットであるシトクロームbに変異をもつマウス培養細胞(NIH 3T3)を構築し、ミトコンドリアからの活性酸素発生量の増加、それにともなうアポトーシス(細胞死)や、ヌードマウスに移植すると腫瘍を形成するような形質転換が生じることを確認した。本年度は、細胞死や癌化に至る細胞内の変化を捉えるために、細胞死に関しては実行因子であるカスペーズ3の活性とマーカーであるDNAラダーを、癌化に関しては突然変異の頻度を測定した。また酸化ストレスによるDNA傷害のマーカーとなる8-OHdGの量を測定した。 測定は、変異株構築後、アポトーシスを多発する1ヶ月目と、形質転換を多発する3ヶ月目におこなった。 1.アポトーシス (1)カスペース3の活性 継代培養を続けるにしたがって活性が上昇し、1ヶ月目に1.2倍、3ヶ月目には1.8倍に達した。 (2)DNAラダーの測定 1ヶ月目、3ヶ月目ともにDNAラダーが検出されたが、量的に少なかった。これはミトコンドリア内部から発生する酸化ストレスがパラコートのような強いストレスと違って穏やかなため、アポトーシスが一部の細胞にのみ生じているためと考えられる。 2.形質転換 (1)突然変異頻度 継代培養を続けるにしたがって活性が上昇し、1ヶ月目に100倍、3ヶ月目には1,000倍にも達した。 3.DMA中の8-OHdGの量 継代培養を続けるにしたがって活性が上昇し、DNAに変異が蓄積することが明らかとなった。 これらの結果から、ミトコンドリアから発生する酸化ストレスが細胞に傷害を与え、細胞をアポトーシスに導き、さらに遺伝子に突然変異が蓄積し、アポトーシスを逃れた細胞が癌化する過程が明らかとなった。 現在、この遺伝子が欠損したマウス個体を作成している。
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[Publications] Nanami Senoo-Matsuda: "A complex II defect affects mitochondrial structure, leading to ced-3-and ced-4-dependent apoptosis and aging"Journal of Biological Chemistry. 278. 22031-22036 (2003)
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[Publications] Phil Hartman: "Relationship between catalase and life span in recombinant inbred strains of Caenorhabditis elegans"Journal of Nematology. 35. 314-319 (2003)
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[Publications] Philip S.Hartman: "Chromosomal Instability and Aging (Marcel Dekker, Inc.)"Fuki M.Hisama, Sherman M.Wessman, George M.Martin. 507 (2003)
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[Publications] 石井直明: "老化と不死化"藤原研司, 石井裕正, 佐藤信紘, 荒川奉行, 井廻道夫. 86 (2003)
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[Publications] Naoaki Ishii: "Energy Metabolism and Lifespan Determination"Mark P.Mattson. 216 (2003)