2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580801
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石井 直明 東海大学, 医学部, 教授 (60096196)
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Keywords | ミトコンドリア / 電子伝達系 / 複合体II / シトクロームb / 活性酸素 / マウス / 発育異常 / 行動異常 |
Research Abstract |
これまで、ミトコンドリア電子伝達系複合体IIのサブユニットであるシトクロームbに変異をもつマウス培養細胞(NIH 3T3)を構築し、ミトコンドリアからの活性酸素発生量の増加、それにともなうアポトーシス(細胞死)や、ヌードマウスに移植すると腫瘍を形成するような形質転換が生じることを確認した。 本年度はこれまでの結果を踏まえて、マウス細胞に導入した同じ変異遺伝子をマウス受精卵(前核期胚)の雄性前核にマイクロインジェクションしてトランスジェニックマウス〔mev-1マウス〕を構築し、このマウスが次のような性質を示すことを明らかにした。 1.MPEC発光試薬をもちい、組織での活性酸素蓄積量の測定をおこなった。組織が大きな肝臓・筋肉において解析をおこなったところ、その蓄積量が野生型のマウスに比べ顕著に増加していることが確認された。 2.飼育時の経過観察から、個体の大きさに変化が観察された。 胎児期から成熟期における個体の成長が、野生型のマウスと比較し著しく遅くかった。さらに、成熟期以降、個体は徐々に小さくなる傾向にあった。この結果は、早老症を示唆する結果となった。 3.さらに、mev-1マウスが直進しているときの歩幅に優位な減少が確認された。これは、脊椎の湾曲の影響によるものと考えられた。 4.この変異マウスは成熟するまでは野生株と変わらず成長するが、不妊であった。そこで、今後はこの変異マウスをさらに改変し、ミトコンドリアからの活性酸素の発生量や発生時期をテトラサイクリンにより生体外部から任意に制御可能な条件付遺伝子組換えマウスを作製し、生理学・生化学・行動学・病理学的解析、および寿命測定をおこなう。
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