2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチのin vivoヒト滑膜炎モデルの確立と滑膜炎抑制性T細胞の解析
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14580802
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
山田 秀裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (00174730)
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Keywords | 関節リウマチ / 疾患モデル / 調節性T細胞 |
Research Abstract |
関節リウマチ(RA)患者由来滑膜組織浸潤細胞を用いて、in vitroでパンヌス様炎症組織を再構成する培養系と、滑膜浸潤細胞をSCID bg.マウス関節内に移入してパンヌス形成や関節破壊を高率に惹起する実験系を独自に開発した。このin vitroおよびin vivoヒト細胞モデルを用いて、パンヌス形成におけるT細胞の役割と、このモデルを応用した新しいRAの治療戦略の確立を目指した。酵素処理せずに分離したRA由来滑膜組織浸潤細胞は、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ、樹状細胞、血管内皮細胞、T細胞、B細胞などから成る。昨年度の研究で、この初代滑膜由来細胞からイムノビーズ法を用いてT細胞を除去すると、in vitroでのパンヌス形成や炎症性サイトカイン産生、およびSCID bg.マウス関節内でのパンヌス形成や関節破壊は増強されることが明らかとなった。滑膜浸潤T細胞の中に滑膜炎を制御するT細胞が存在することが示唆された。そこで今年度は、CD4,CD8,CD25,CD45RO-mAbを用いて滑膜組織浸潤T細胞のどの亜分画に滑膜炎調節作用があるかを検討した。各亜分画を除去して、再構成実験を行った。In vitroパンヌス様組織形成およびTNF-a産生の増強作用はCD25陽性T細胞を除去した場合のみ認められた。一方、抗CD4,CD8抗体を培養系に添加しても滑膜増殖やサイトカイン産生に影響はなかった。また、CD25陽性細胞除去により滑膜由来T細胞によるIL-10産生は有意に低下した。以上から、CD25陽性T細胞はIL-10を介してRA滑膜炎におけるパンヌス形成の制御機構の一翼を担っていることが示唆された。来年度はこの点をさらに立証していきたい。
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