2003 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍抑制遺伝子Tsc2に変異を持つモデル動物を用いたtuberinの機能解析
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14580804
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
小林 敏之 財団法人癌研究会, 癌研究所・実験病理部, 研究員 (40260070)
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Keywords | Tsc2遺伝子 / tuberin / トランスジェニックEkerラット / ノックアウトマウス / 腎腫瘍 / 結節性硬化症 / S6キナーゼ / Erc / mesothelin |
Research Abstract |
Tsc2欠失マウス腎腫瘍細胞株にTsc2を発現させることにより、ErcのmRNA量は顕著に低下するものの、蛋白(70kDa)量は低下しないとを明らかにした。Ercの発現には転写時のみならず、転写後における制御が重要であることが示唆された。またHela細胞に対するシグナル伝達阻害剤処理ではERCの発現は大きな変動を示さなかったものの、血清飢餓条件においてプロテアーゼ切断遊離型(約33kDa)ERC産物が増加する傾向を見出した。これらの結果から、Erc/ERCの発現・機能の制御にはmRNA量と共に蛋白レベルでの修飾が重要であり、Tsc2欠失によって何れかの機構に変化が生じているものと考えらた。一方、トランスジェニック・Ekerラットにおいて部分的な腫瘍抑制能を示したTsc2産物(tuberin)のC末端領域(RGH)は、Rap1-GAP相同領域を保持しているもののmTOR〜s6K経路を抑制する活性が低下していることを培養細胞を用いた実験系により明らかした。さらに、RGH発現導入遺伝子を持つEkerラットのホモ変異体(生存時)においては、S6Kの活性化が生じていることを見出した。今後、Erc発現とRGH機能の関連を解析したいと考えている。結合蛋白の解析としては、酵母two-hybrid方により結合蛋白の候補として同定した。γ2-adaptinとmyomegalinに対する特異的な抗体を作製することができたものの、内在性の蛋白の検出が困難であり、結合の検討が困難であった。また、免疫沈降法を用いた検索については新たな結合蛋白の候補を見出すには至っていないが、tuberinは膜画分にも存在することが明らかとなっており、今後蛋白結合が失われない条件での積極的な可溶化を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Adachi, H., et al.: "Niban gene is commonly expressed in the renal tumors : a new candidate marker for renal carcinogenesis."Oncogene. 23(in press). (2004)
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[Publications] Honda, S., et al.: "Ets protein Elf-I bidirectionally suppresses transcriptional activities of the tumor suppressor Tsc2 gene and the repair-related Nth1 gene."Molecular Carcinogenesis. 37(3). 122-129 (2003)