2002 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムミュータジェネシスによる遺伝子欠損モデルラットの開発に関する研究
Project/Area Number |
14580805
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
原田 良信 独立行政法人放射線医学総合研究所, フロンティア研究センター, グループリーダー (90192707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 厚至 独立行政法人放射線医学総合研究所, フロンティア研究センター, 研究員 (60303559)
鬼頭 靖司 独立行政法人放射線医学総合研究所, 研究基盤部, 研究員 (20311376)
孫 学智 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (00284323)
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Keywords | ラット / ミュータジェネシス / クロラムブシル / 突然変異 / BN / F344 |
Research Abstract |
本研究の目的は化学変異原であるクロラムブシルを雄ラットに投与することにより、ゲノム上に欠失型突然変異を起こさせ、遺伝子欠損型の新規突然変異ラットを作製することにある。今年度は、これまでの研究に引き続き、クロラムブシルを雄ラットに投与し、雌ラットと交配することにより産仔を得て、その数の変動から突然変異体を得るのに最適なクロラムブシルの投与量や交配時期の決定を行った。今年度はクロラムブシルを投与する雄ラットをBN系統からF344系統に変更した。その結果、クロラムブシル10mg/kg body weight投与群からは投与後46日から55日の間は産仔が得られなかった。これは精子のゲノムに多くの突然変異が導入され、ほとんど全ての胚(または胎仔)が発生途中で死亡(優性致死)したためと考えられる。効率的に突然変異体を得るにはクロラムブシル投与量を減じる必要性が考えられた。 一方、前年度までに得られたG1個体(G0世代雄はBN系統)を用いた交配実験により、G2,G3、G4世代に突然変異体の検出を試みた。その結果、これらの世代のラットに誕生時の体重が他の個体に比べ大幅に減少した個体が得られた。この小型個体にはさらにその大きさから2種類あるものと考えられる。この小型個体は出生児の体重には大きな変化があるものの、そのほとんどは致死とならず、アダルト個体へと成長した。よって現在、この形質の遺伝性を明らかにする交配実験を行っている。また来年度はこれら小型個体から出産時に様々な臓器からRNAを抽出し、ラットマイクロアレイによって遺伝子発現の変化を観察する予定である。その他、水頭症と思われる個体や、四肢に異常のある個体なども得られたが、これらの個体はすべて出生後に死亡した。また同じ親個体から同様の個体は得られておらず、遺伝性の有無については更なる検討が必要であると考えられた。
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