内視鏡画像を用いた生体靭帯の応力・ひずみ分布のin vivo計測

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14580823
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 広川 俊二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80150374)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鶴野 玲治 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教授 (10197775) ; 山本 耕之 久留米工業大学, 工学部, 助教授 (40158275) ; 石川 聖二 九州工業大学, 工学部, 教授 (90128116)
• Keywords: 前十字靭帯 / 応力・ひずみ分布 / モーションキャプチャー / 関節内視鏡 / 線維束 / 陰影画像

Research Abstract

下記の通り,当初計画に沿った研究を実施した.
まず,切断膝関節標本の前十字靭帯表面に多点マーカを張り付け,膝屈曲に伴う靭帯の変形形状とマーカ位置を3台のビデオカメラで記録した.同一マーカを3方向からのカメラで記録することにより,カメラキャリブレーションを行わずに,マーカの3次元位置を算出するアルゴリズムを考案し,測定実験で得たマーカ位置を基に靭帯のひずみ分布を求めた.
次いで,上述した測定実験ならびにモーションキャプチャーから得られたデータを基にレンダリング技法を用いて靭帯形状とひずみ分布を画像表示した.膝屈曲に伴う靭帯形状(ひずみ分布)の変化をより分かり易く表示するためのアニメーションをも作成した.
以上により,基礎データを蓄積した後,インタクトな切断膝を対象に訓練用内視鏡を用いて,膝屈曲に伴う前十字靭帯の変形形状の観察・記録を行い,in vivoではあるが,ひずみ分布測定が可能なシステムを構築した.
ただし,測定・解析の結果,内視鏡による至近距離,広角視野撮影では,測定誤差が靭帯伸びひずみに匹敵するほどに大きくなることが判明した.このため,これまでのアルゴリズムに代えて,以下の2方法を併用することにした.まず,第一は,マーカに変えて,靭帯表面線維束を対象とした線分のモーションキャプチャー法を開発し,測定実験と解析を行ったことである.第二は,靭帯の陰影画像を基に,靭帯の三次元形状を復元し,その三次元形状の変形から靭帯の表面ひずみを算出するアルゴリズムの構築とプログラムの開発を行ったことである.
以上2点の改良により,内視鏡画像による靭帯のひずみ分布のin vivo計測が可能となった.
今後は,低侵襲型のマイクロファイバースコープの開発へと本研究を発展させていく意向である.

Research Products

• [Publications] 廣川俊二, 有吉省吾, 朝長裕樹, 梶山貴史: "単面投影像による人工膝関節の三次元位置・姿勢推定に関する研究"日本機械学会論文集. 69・674. 144-151 (2003)
• [Publications] 迫下勉, 廣川俊二: "靭帯の組織構造と力学特性に関する実験的研究"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 24. 16-23 (2003)
• [Publications] 植木貴司, 廣川俊二, 大月彩香: "生体膝関節曲面の数式モデル化とその応用に関する研究"日本機械学会論文集. 60・687. 24-31 (2003)
• [Publications] S.Hirokawa, T.Sakoshita: "Relationship between mechanical properties and structure in the ligaments"JSME Transactions of Bioengineering, Series C. 45・4. 1417-1425 (2003)
• [Publications] S.Hirokawa, S.Ariyoshi, K.Takahashi, K.Maruyama: "Kinemativ measurement of knee prosthesis from single-plane projection"JSME Transactions of Bioengineering, Series C. 45・4. 1368-1376 (2003)
• [Publications] タン・ジュー・クイ, 石川聖二, 廣川俊二: "多視点画像を用いた変形物体の一括3次元モデル化法"画像電子学会誌. 32・4. 483-487 (2003)