2003 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン腹腔内注入アルゴリズムの開発-完全植込型投与システムへの応用-
Project/Area Number |
14580825
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Research Institution | k |
Principal Investigator |
榊田 典治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50170577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 健朗 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50336244)
荒木 栄一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10253733)
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Keywords | インスリン注入アルゴリズム / 腹腔内インスリン注入 / 埋込み型人工膵島 / 血糖日内変動 |
Research Abstract |
完全植え込み型投与システムを開発目標にインスリン腹腔内吸収動態を解析し、制御部門としてclosed-loopインスリン腹腔内注入アルゴリズムを開発し、その有用性・妥当性を確認するため、以下の(1)(2)にしめすように、糖尿病犬における経口ブドウ糖負荷時、血糖日内変動の血糖制御を行った。 (1)アロキサン糖尿病犬に対する経口ブドウ糖負荷時の血糖制御 インスリン腹腔内注入アルゴリズムの有用性を検討すべく、アロキサン糖尿病犬に対して腹腔内注入及び皮下注入アルゴリズムを組み込んだベッドサイド型人工膵島を用いて、2g/kg経口ブドウ糖負荷時の血糖制御を試み、静脈内注入アルゴリズム作動時とそれぞれ比較検討した。その結果、静脈内注入アルゴリズム作動時と腹腔内注入アルゴリズム作動時での血糖制御は、全経過を通じ、両者とも良好な血糖制御パターンを示したが、皮下注入アルゴリズム作動時では、90分から140分では有意に高値で、逆に、200分から260分では有意に低値を示した。一方、インスリン動態では、静脈内注入と腹腔内注入アルゴリズム作動時では同じパターンを再現し得たが、皮下注入作動時では、110分から260分で、30.5±52μU/mlから20.6±4.9μU/mlと有意に遅延型高インスリン血症のパターンを示した。 (2)アロキサン糖尿病犬に対する血糖日内変動の制御 アロキサン糖尿病犬に対して、インスリン腹腔内注入アルゴリズムを組み込んだ携帯型人工膵島を用いて、朝夕の2回(計80kcal/kg/day)の食事摂取時の血糖制御を試みた。その結果、食前の最低血糖値は70〜92mg/100ml、食後の最高血糖値は165〜182mg/100mlで、高血糖及び低血糖を認めることなく良好な血糖コントロールが可能で、血糖応答反応を良好に制御することが出来、本アルゴリズムの有用性が確認された。 以上のことから、結論として、インスリン腹腔内注入アルゴリズムの有用性がin vivoにて確認し得た。
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[Publications] Y.Matsuo, S.Shimoda, M.Sakakida et al.: "Strict glycemic control in diabetic dogs with closed-loop intraperitoneal insulin infision algorithm designed for an artificial endocrine pancreas"J.Artif.Organs. 6巻1号. 55-63 (2003)
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[Publications] 西田健朗, 榊田典治: "臨床からみた携帯型人工膵島の現況と今後の期待"医科器械学. 73巻8号. 390-394 (2003)
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[Publications] 榊田典治: "医療用センサー;ブドウ糖センサー"Medical Science Digest. 29巻14号. 554-557 (2003)
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[Publications] 榊田典治: "人工膵島-携帯型から埋込み型へ-"診断と治療社. 227 (2003)