2003 Fiscal Year Annual Research Report
温度反応性培養皿を用いた角膜内皮細胞の培養および内皮移植の検討
Project/Area Number |
14580827
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
山上 博子 自治医科大学, 医学部, 講師 (50216686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40267117)
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Keywords | 培養角膜内皮細胞 / 角膜内皮細胞移植 / マウス / ラット |
Research Abstract |
角膜内皮細胞は、実質内の水分をくみ出すポンプ作用のほかに、免疫反応を担っているなど、多彩な働きをしていることが近年明らかになってきている。角膜内皮細胞が障害された場合には、実質の混濁により視力が著しく低下するため、全層角膜移植が行われている。しかし、現在もわが国ではドナー不足が大きな問題である。生体内では通常増殖しない角膜内皮細胞を、体外で増殖させ、内皮細胞を移植することができれば、ドナー不足が解消され、角膜移植を待っている患者さんたちへの福音となることが考えられる。そこで我々は、角膜内皮のみの移植を目指して、培養角膜内皮シート作製を検討している。 ヒト角膜内皮細胞の入手は国内では容易ではないため、まず、実験動物を用いて検討を行った。 6-7週齢のSDラットより角膜を採取し、内皮細胞を分離・培養した。初代培養時にウシ胎児血清を用いたが、継代培養には無血清培地使用を試みた。培養に際して、繊維芽細胞などのコンタミネーションがあり、均一な内皮細胞のみの培養は難しい状況である。しかし、コンフルエントになった細胞シートは、37度培養から32度培養への低温度処理により、容易に培養皿から分離可能であった。得られた内皮細胞シートについて、E-カドヘリン、ラミニン5などの発現を免疫染色で検討中である。 シートは1層の細胞からなる、非常に薄い構造をしており、培養皿から眼内への移植手術に際してはカーリングによる細胞の破損や皺壁形成が問題となる。このため、シートの移動時に用いる支持媒体使用を検討している。
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